【座談会】これからの保険薬局、求められる人材像と方向性

2015年3月1日 (日)

薬学生新聞

出席者
向 昭彦氏(日本保険薬局協会雇用問題検討委員会委員長代理、フロンティア取締役管理本部長)
橋場 元氏(日本保険薬局協会雇用問題検討委員会副委員長、アモール代表取締役社長)
藤田 勝久氏(日本保険薬局協会雇用問題検討委員会副委員長、ウインファーマ代表取締役)
網 亮一氏(アイセイ薬局人材本部・人材開発部部長)
松井 克仁氏(阪神調剤薬局・薬局運営部薬局人事採用課長)
沢志 紀子氏(フロンティア執行役員キャリア支援室室長)

出席者

 薬学部6年制3期生の進路は、4割近くが薬局、3割近くが病院だった。一般販売業を含めると約7割が薬剤師免許を使う道を選んだことが薬学教育協議会の調査で明らかになった。14年度、新設校を含め全てが卒業生を輩出することになったが、店舗拡充を続ける薬局チェーンにとって人材確保が厳しい状況であり、現場では薬剤師不足が解消されていない。

 一方、2025年に向け新たな地域医療供給体制における薬局のあり方が模索されている。そこで「これからの保険薬局の方向性と求められる人材像」をテーマに、全国展開型・地域密着型など多様な調剤薬局チェーンの代表の方にお集まりいただき、薬局が目指す方向性はいかに、そこにはどのような人材が求められているか、お話をうかがった。

 ――まず始めに各社の概要をご紹介下さい。日本保険薬局協会雇用問題検討委員会委員長代理、フロンティアの向さんからお願いします。

向氏

向氏

  はじめに雇用問題検討委員会について少し説明します。

 会員企業の雇用問題を担当しており、合同企業説明会の開催が主要活動になります。例年12月に開催してきましたが、就職活動時期の繰り下げなど環境変化を受け、今年度はいったん休止しました。

 学生側も就活時期が変わり、苦労されている面もあると思うので、それらを踏まえた上で、会員企業と学生を結び付ける活動をしていく予定です。

 フロンティアは調剤薬局を約140店舗有し、従業員数1900人、このうち薬剤師は600人強在籍しています。調剤事業だけでなく介護保険制度による福祉用具のレンタル、販売および住宅改修など福祉関連事業にも取り組んでいます。

  アイセイ薬局は、2月1日時点で北海道から広島まで全国に304店舗あり、そのうち約9割がクリニックの門前や医療モール内の店舗です。グループ全体として、従業員数は2400人ほどで、そのうち半数の約1200人が薬剤師です。また、介護福祉事業にも積極的に取り組んでいます。

 松井 阪神調剤薬局は、関西を基盤に182店舗あり、うち130店舗以上が関西ですが、北海道から九州・鹿児島まで全国展開しています。来年で40年目を迎え、調剤薬局チェーンとしては日本の中でも歴史が古く、パイオニア的存在と自負しています。従業員数は1700人、薬剤師は900人います。

 数年前から阪神調剤ホールディングスを立ち上げ、全体では224店舗になります。また、人材紹介や老人保健施設など多様な事業を展開しています。

 藤田 ウインファーマは、神奈川中心に群馬、茨城、福島など関東圏に29店舗あり従業員数135人、うち薬剤師は約75人います。私自身は元々製薬会社にいましたが、これからの薬局薬剤師の育成を目指し、16年前に独立しました。

橋場氏

橋場氏

 橋場 アモールは富山県のチェーンとしては老舗で、今年で30年目を迎えます。県内17店舗のほか、関東にも5店舗あります。

 店舗は町のクリニックに隣接した地域密着型で、この形態を生かし最近では、訪問看護事業に取り組んでいます。従業員数は168人、うち薬剤師が113人。ほかに看護師、OT、PT、ケアマネなど多職種にわたります。

就職“場所”から選ぶ傾向も

 ――昨年度、初めて全ての薬系大学が6年制の新卒を輩出しました。新卒採用の状況はいかがですか。

 沢志 薬剤師不足が解消されるといわれながら、内定者の数が満足できるような状況になっていません。一方、学生側は、国試を通ってからでも、就職が決められるので、通年採用という意識があるのではないでしょうか。

 6年間ということもあり、待遇面と勤務地を重視する傾向にあると感じています。

 ――全国チェーンと地域密着型薬局とで違いはありますか。

  全体的に、学生は国試対策に忙しく、就職活動に割く時間が少ない。そのためある程度、就職先を絞り込んでいるように感じます。

 当社は比較的広域で展開しているのですが、学生の希望条件が明確な場合、希望するエリアに店舗が少ないなどを理由に内定を辞退されるケースもあります。自分の志向や働き方をはっきりさせて、就職活動に臨んでいるように感じます。

 ――地域に拠点を置く立場ではいかがですか。

 橋場 北陸はもともと医薬分業率が低い地域ですが、ここ5年ほど伸びており、薬局数も増えています。福井には薬科大はなく、石川は金沢大と北陸大、富山は富山大ですが国立ですし、北陸では薬剤師の絶対数は足りていないかなと思います。各社、苦労しながら採用活動をしているのが実態です。

藤田氏

藤田氏

 藤田 わが社では新卒採用は2年ほど前からですが、昨年12人に内定を出しました。しかし国試合格は5人で不合格が5人、残り2人は卒業延期でして、今の状況を投影しています。

 大学が首都圏に集中し、神奈川では比較的採用しやすいですが、福島や栃木、茨城など北関東圏では難しい状態です。地方出身者が地元に戻ってくれば良いのですが、もともと少ないことも採用を困難にしています。福島には2校ありますが、合格率の関係もあり絶対数が少なく、都市部とは採用の厳しさが違います。

 松井 私も学生が、就職活動するときに就職場所から選ぶ方が多いように感じます。考え方や志向が、わが社と合っていても、就職場所の関係で、学生と接触する機会さえ失われているように感じます。そもそも就職に当たってのスタート時点が、以前とは違うと感じることがあります。

 そもそも学生さんと接触を持てなければ、関西以外の店舗の存在、業務形態も伝えることができません。住む所や働く場所以外の要素で、どうやったら学生さんに選んでもらえるかが課題の一つです。


ページ:
[ 1 ] [ 2 ] [ 3 ]

HOME > 薬学生新聞 > 【座談会】これからの保険薬局、求められる人材像と方向性

‐AD‐
薬学生新聞 新着記事
検索
カテゴリー別 全記事一覧
年月別 全記事一覧
新着記事
お知らせ
アカウント・RSS
RSSRSS