国家試験に向けた学習ポイントと勉強法 その2

2013年9月1日 (日)

薬学生新聞

 国家試験の過去問題(既出問題含む)は解けていますか?

 科目によっては順調に解けている科目と、そうでない科目があるなどの声が聞こえてきそうですが、ぜひ早めに取り組んでください。私たち薬ゼミ講師は学生の合格を毎年見守らせていただいておりますが『国家試験勉強は過去問題に始まり、過去問題で仕上がる』であると思います。

 それでは、国家試験の詳細を見ていきます。98回試験(前回)の出題傾向として「再出題」「類似」「組み合わせ類似」に注目すると……
□再出題は出題されていない
□理論問題の「類似」「組み合わせ類似」の合計値が27.6%
以上2点のことから、過去問題をただ丸暗記するのでは得点になりませんが、しっかりと理解すれば、理論問題を中心に得点アップが見込めます。

 次に科目別でやるべきことを示します。今回は医療系科目の薬理、病態・薬物治療、実務を確認してみてください。

■薬理■

 薬理では、各種薬物の分類、作用機序、副作用が万遍なく出題されます。

 97回国家試験より必須・理論・実践問題を含め、基本的な内容を踏まえての出題が多く、幅広く出題されます。近年は、医療現場で実際使用されている薬物が出題されるようになってきており、実務実習中に目にした薬物についての出題に注意しましょう。

 新傾向としては、98回国家試験の「実践問題」で漢方処方に関する出題がみられ、また、薬理に出題基準が直接存在しない範囲(例:緑内障治療薬、排尿障害治療薬・頻尿治療薬)などの出題も見られましたので、今後も幅広い分野の出題が想定され、広い知識が必要であると考えられます。

 今後の対策としては、旧国家試験の既出問題を含め、以前より出題されやすかった範囲の問題を中心に整理をしていくことが重要です。特に以下に記した6分野に関しては、ほぼ毎年国家試験にて出題されています。「自律神経系」は、他の多くの臓器に関わる重要な薬物が多く分類されているため、循環器系、消化器系、呼吸器系等への知識の拡大が期待できます。また、「中枢神経系」「循環器系」「代謝系」の分野は、病態・薬物治療や実務での出題が多い分野であり、多くの薬物に関して他科目での得点アップが期待できます。

 最後に、98回国家試験においては旧国家試験からの再出題の問題は見られず、一部文章を変えて出題されているものが多かったことから、既出問題を勉強する際も丸暗記にならず、誤っている部分をしっかりと正文に直せるように訓練していくことが大切であると考えます。

<早めに取り組んでほしい項目>

 □自律神経系に作用する薬
 □中枢神経系に作用する薬
 □循環器系に作用する薬
 □代謝系に作用する薬
 □感染症と薬
 □悪性腫瘍と薬

作成:笹 靖昇

■病態・薬物治療■

 98回は全体的にやや難易度の高い問題でした。「必須問題」は、既出問題に類似した内容で容易に得点できたと思われましたが、「理論・実践問題」には、今まで出題されたことのない疾患の病態、新傾向や実践的な記述(98回例:筋萎縮性側索硬化症、副甲状腺機能亢進症など)が多く、既出問題レベルの対応では得点が難しい問題でした。また、情報・検定に関する問題は、「必須・理論・実践問題」を合わせて計10題と多く出題され、正しい知識を必要とする難易度の高い問題でした。

 今後は、新しい疾患に関する病態の問題が増えることが予想されますので、疾病を偏りなく確認することで、得点アップが期待できます。情報・検定は出題数が多くなることが予想されます。実践問題では、栄養状態を評価する問題、大腸癌のテーラーメイド医療の問題も出ており、実務実習で学んできた時のノートなどの見返しをしましょう。

<勉強する際に意識してほしいこと>

 □疾病相違点の区別
 □正常(生理)知識確認
 □薬物の薬理的特徴

作成:後藤 健太

■実務■

 実務の必須は10問(問番号81~90)ですが、第97・98回国家試験より「薬剤師の使命、診療報酬、学校薬剤師、OTC、漢方」など偏りなく出題されているのが特徴です。足切り対策としても偏りのない知識の習得が不可欠になります。勉強を進める際は、出題項目や範囲を体係的に確認しながら取り組みましょう。

 また、実践問題(問番号196~325)は65問ですが、実務実習の知識や添付文書を用いた問題が旧国家試験(第96回以前)に比べ、増加しています。

 勉強を進める際は、特に実務実習の報告書や代表的な薬剤の添付文書を見る時間を作ることが理想的です。そこで、有用な資材となるのが第97・98回国家試験、予備校が実施する模擬試験問題の活用です。実際に各科目と実務がどのようなつながりがあるかを意識してみると、スムーズに勉強しやすくなるでしょう。

 実践問題(問番号326~345)は20問です。既出問題に類似した知識が問われることが比較的多く、図、イラストを引用した問題やインスリン製剤の指導内容問題等が出題されていますので、今の時期としては既出問題を確認することと、より具体的な服薬指導内容を確認することも行いましょう。

 最後に、近年の国家試験の傾向は問題解決能力が重視され既出問題だけでは対応しきれない部分があるかもしれません。しかし、決して既出問題を解くための知識が不要なわけでなく、その知識を取得することを前提にして、その知識をいかに活用するかの応用力が必要となります。

 これからの国家試験対策では、既出問題の暗記ではなく、その重要事項の理解を根幹に他科目とのつながりや現場での臨床面を考えながら勉強を進めていきましょう。

<勉強する際に意識してほしいこと>

 □医薬品の用法・用量(出題問数が多いため)
 □服薬指導(出題問数が多いため)
 □注射剤・輸液(出題問数が多いため)
 □疑義照会(薬理学・薬物動態学とのつながりが重要)
 □調剤報酬・TDM・中毒医療(他科目とのつながりが重要)

作成:坂口 努生越 史行


薬学ゼミナール池袋教室
鈴木 素邦



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