【これから『薬』の話をしよう】どんな情報を追えばいい?

2017年1月1日 (日)

薬学生新聞


医療法人徳仁会中野病院薬局
青島 周一

青島周一氏

 みなさんこんにちは。前回は、薬が“人の将来にどのような影響を及ぼしていくか”という観点から、DPP4阻害薬に関する臨床試験をご紹介し、薬の“効果”についてお話ししました。薬の効果と言っても、考え方1つでその認識が大きく変わることがよくお分かりいただけたかと思います。

 薬の効果に関する情報、つまり医薬品情報ですが、様々な観点から膨大な情報が日々蓄積されています。その全てを把握することは難しいですが、ひとまず医学や薬学に関する研究を、大きく臨床研究と基礎研究に分けるとよいでしょう。このうち、ヒトを対象として薬剤効果等を検討する研究を臨床研究と呼びます。いわゆる臨床試験は臨床研究の代表的なものです。一方で、動物もしくは培養細胞等を対象に行う研究は基礎研究と呼ばれます。

 臨床現場において重視すべき情報は、やはり臨床研究の結果になるでしょう。基礎研究を軽視するわけではありませんが、その結果はヒトに対してはあくまで仮説にすぎません。動物で示された効果がヒトで示されるかどうかは不明ですし、ましてや前回お話しした薬の予防的効果となれば、全くの未知数といえるでしょう。

 臨床研究に関する論文情報を一般的には“エビデンス”と呼びます。エビデンスを調べていくと、著明な予防的効果を有さない薬剤は決して少なくないことが分かります。それどころか、人の将来に何らかの悪影響を及ぼす可能性を示したエビデンスも存在します。

 僕は以前、慢性閉塞性肺疾患に対するチオトロピウム(ミスト吸入製剤)という気管支拡張薬に関するメタ分析(BMJ. 2011 Jun 14;342:d3215)の結果に大変衝撃を受けました。メタ分析とは複数の臨床研究データを統合解析する研究手法で、この研究では5つの臨床試験が解析されました。その結果、チオトロピウムを使用していると死亡リスクが52%増加することが示されたのです。

 もちろん1つの研究結果が必ずしも真実を示すわけではありません。とはいえ、日本で「医薬品」として承認されている薬剤でも、このようなリスクが報告されているというのは、なかなか衝撃的なことではないでしょうか。こうしたエビデンスは他の薬剤でも多々報告されているのです。



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