ニュースダイジェスト

2017年3月1日 (水)

薬学生新聞


C型肝炎薬の偽造品発覚‐薬局で調剤、薬剤師に衝撃

現金問屋の存在も焦点に

 これまで日本では存在しないと考えられてきた偽造薬が患者に調剤され、手渡されていた事件が発覚した。1月17日、ギリアド・サイエンシズのC型肝炎治療薬「ハーボニー配合錠」について、奈良県内の薬局チェーン「関西メディコ」が経営するサン薬局の店舗で、形状や色が正規品と異なる偽造品が調剤されていたことを厚生労働省が公表した。その後、奈良県や東京都などで合計15ボトルの偽造品が見つかったが、それ以上はなかった。流通経路は、現金問屋と言われる卸売販売業者から流れたとされているが、最終的に患者への健康被害はなく、薬事監視の観点からの調査はほぼ集結した。今後、行政処分の検討が行われることになるが、日本で起こった前代未聞の偽造薬事件は、ゲートキーパーであるはずの薬剤師が正規でない流通ルートから仕入れ、患者に調剤してしまった事実は大きな衝撃を与えた。

 「ハーボニー」は通常1回につき1ボトルが処方されるが、偽造品は、患者が製品のボトルを開けた時に薬の形状に違和感を覚え、調剤した奈良県内の薬局に問い合わせ、ギリアド社に報告されたことで発覚した。当初、ハーボニーの偽造品は、奈良県生駒郡のサン薬局平群店で2ボトル、奈良市の平松店で2ボトル、生駒郡の三室店で2ボトルが見つかったが、その後、さらに東京都内にある2カ所の卸売販売業者から、偽造品9ボトルが新たに見つかった。東京では、医療機関に納入する前の段階で発見されており、患者の手には渡らなかったが、正規のボトルに入っていたものの、外箱や添付文書がない状態で見つかり、これは明らかな法令違反となる。

 塩崎恭久厚生労働相は、法律違反には厳正に対処していく方針を強調しており、今後の対応が注目される。

 既に厚労省は、偽造品の流通ルートをほぼ解明し、患者が服用したケースはなかったと結論づけている。偽造品を分析した結果、まだら模様の薄い黄色の錠剤はビタミン類のサプリメント、薄い紫色の錠剤は一般用漢方製剤の小青竜湯だった。薬事監視の観点から実施した調査は終結宣言され、今回のルートで偽造品はほぼないと断定され、今後は警察当局の捜査に委ねられることになる。

 厚労省が明らかにした流通ルートによると、見つかった偽造品は計15ボトルとなった。これら偽造品は、全て東京都の現金問屋とされる卸売販売業者1社から納入されたことが分かっており、厚労省は、偽造品を販売した卸売販売業者の納入先について、「個人の可能性は否定できない」との見方を示しているが、不明な点も多いのが今回の事件でもある。

 ただ、薬剤師という薬に関する専門家が結果的に偽造品を仕入れてしまい、患者に調剤してしまったことへの衝撃は大きく、改めて薬局薬剤師のあり方を再確認する機会にもなったと言えるだろう。

高齢者の定義、75歳以上に‐65歳以上は「准高齢者」

老年学会が提言

 高齢者は75歳以上――。老年関連7学会で構成する日本老年学会と日本老年医学会は1月、高齢者の定義を現在より10歳引き上げて75歳以上に見直す提言を出した。現在、高齢者は暦年齢で65歳以上とされているが、身体状況や活動能力が10~20年前と比べて5~10歳若返っており、社会的にも70歳以上、75歳以上を高齢者と考える意見が多いことから、75歳以上を「高齢者」、65~74歳を「准高齢者」と位置づけるよう提言した。

 高齢者は65歳以上と定義されていたが、これまで医学的、生物学的に明確な根拠はなかったとされている。最近は65歳以上の前期高齢者に若く活動的な人が多く、高齢者の定義が現状に合わない状況にあったことも背景に、両学会は2013年から合同ワーキンググループで高齢者の定義を再検討するため、身体状況や活動能力、社会学的観点からの検証を行ってきた。その結果、現在の65~79歳の高齢者で慢性疾患の受療率、要介護認定率、死亡率が低下し、10~20年前に比べて加齢に伴う身体的機能変化の出現が5~10歳遅くなるなど、若返り現象が見られることが分かった。

 特に65~74歳の前期高齢者では、心身の健康が保たれ、活発な社会活動ができる人が大多数を占めた。国民の意識調査でも、70歳以上、75歳以上を高齢者と考える人が多く、働けるうちはいつまでも仕事をしたいと回答した人が約3割と最も多かった。

 そのため両学会は、新たに75歳以上89歳までを高齢者とし、現行の前期高齢者である65~74歳を新たに「准高齢者」として高齢者への準備期間と位置づけ、高齢者の年齢を引き上げることを提言した。90歳以上の超高齢者の定義は現行通り。

 両学会は、高齢者を75歳以上とし、准高齢者を新たに設定することで自主的な社会参加を促し、社会の支え手を増やすことにつながると意義を強調しているが、「高齢者の年齢層を引き上げることが全て望ましいとは限らない。多様性を重んじることが重要」と強調。「少なくとも年金の受給年齢を引き上げるなど、現在の社会保障がネガティブな方向に動いてほしくない」と国民生活に影響を及ぼさないようクギを刺している。

薬価制度の抜本改革へ‐年明けから議論始まる

 薬価制度の抜本改革に向けた議論が早くも年明けからスタートした。昨年末にまとめられた政府の基本方針に基づき、厚生労働相の諮問機関である中央社会保険医療協議会で検討が始まった。

 これまでに抗癌剤「オプジーボ」問題で明らかになった効能追加等に伴う市場拡大に対応するため、収載時に年4回薬価を見直す対象薬の範囲や引き下げ方法、導入時期や外国平均価格調整、毎年改定の実施を受けて、中間年の薬価調査のあり方について1回目の議論を済ませている。

 具体的な議論で既に進展があったのは、乾癬治療薬「トルツ」が類薬に比べて3倍以上の薬価となった問題を受け、見直しを求める意見が噴出していた外国平均価格調整ルール。価格の参照国となっている米、英、独、仏の4カ国のうち、医療保険制度が違い、自由薬価のために高い薬価が付きやすい米国を参照国の1つとしている現状に問題意識が示され、医師など診療側、保険者など支払側の委員は共に「米国を除外すべき」との意見で一致した。

 外国平均価格調整ルールは、算定薬価が外国価格と乖離の大きい場合に調整を行うもの。米、英、独、仏の平均価格の1.5倍を上回る場合は引き下げ、外国平均価格の0.75倍を下回る場合には2倍を上限に引き上げるというもの。

 昨年8月にトルツの薬価が調整後、類薬の3倍以上となったことから問題点が浮上した。さらにその後、企業が収載希望を取り下げ、為替レートの変動を見て再申請したため、中医協の委員から疑問の声が上がっていた。

 今後、基本方針に示された事項について順番に議論を進め、5月ごろと10月ごろに製薬業界から意見聴取を行い、年末には骨子をまとめる予定で抜本改革を進めていくことになっている。


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