ニュースダイジェスト

2017年3月1日 (水)

薬学生新聞

医薬政策管理の人材養成へ‐大学院に新研究分野開設

城西大が4月から

 城西大学は、大学院薬学研究科に修士課程の「医薬政策管理分野」を4月から新設する。医薬関連の政策とマネジメント、経営を理解し、地域の保険薬局やドラッグストアで活躍できる薬剤師を養成するのが狙い。国や地方の制度に関わる行政職も含め、医薬政策とマネジメント・経営にまで精通した専門的な人材を輩出していく。初年度は、チェーン薬局やドラッグストアなどで働く社会人を含め、5人程度の学生を受け入れる予定。

 修了後に取得できる修士(薬科学)の学位は、海外で広く知られているMHA(医療管理修士)の「城西版」として位置づけ、将来的には養成した人材による薬学発のシンクタンク設立につなげる構想だ。

 国が推し進める健康サポート薬局、かかりつけ薬剤師の政策を背景に、保険薬局やドラッグストアで働く薬剤師が住民のニーズや期待を理解し、地域で活躍できるようになるためには、学生の時から医薬政策やマネジメント、経営の知識を身につけておくことが必要と判断し、今回の分野開設に至った。

 医薬政策管理分野のカリキュラムは、必修科目として総合薬科学演習、先端薬科学演習、修士論文研究を履修し、選択科目では医薬政策管理特論、ヘルスケア産業経営管理特論などを学ぶ。

 講座は4月から、教員7人体制で修士課程(2年)のカリキュラムを開始する。国や地方の行政職や政策管理に詳しい薬局、ドラッグストアの薬剤師の輩出を目指すという。

調剤ポイント、事実上容認か‐自己負担金の1%超はダメ

厚労省が基準示す

 薬局やドラッグストアなどが保険調剤の一部負担金の支払額に応じて患者にポイントを付与し、サービスの還元を行っているケースについて、ようやく厚生労働省が指導の対象となる基準を明示し、一応の決着を見た。具体的な事例として、一部負担金の1%を超えてポイントを付与することなどを示した。事実上、自己負担する支払額の1%を超えなければポイントを付与してもいいとも解釈できるものだ。当然、日本薬剤師会は納得せず、日本チェーンドラッグストア協会は歓迎している状況で、様々な解釈ができるようになっているとも言えよう。事務連絡に基づく指導は5月1日から行われることになるが、1%をめぐるポイントの行方が注目される。

 厚労省が明らかにした基準によると、指導の対象になるのは、ポイントを用いて一部負担金を減らせるようにしている、一部負担金の1%を超えてポイントを付けている、一部負担金にポイントが付くことを薬局の外の看板、テレビCMなどで大々的に宣伝、広告を行っている薬局としている。

 このいずれかの基準に薬局が当てはまれば、口頭での指導対象になる。それでも改善が認められない薬局については、必要に応じて個別指導が行われることになる。

 調剤ポイントの問題をめぐっては、「保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則」等が一部改正され、2012年10月から調剤ポイントを付けることが原則禁止となったが、クレジットカードや電子マネーで支払った場合のポイントは認められており、調剤薬局を併設している一部のドラッグストアなどでは依然としてサービスを継続しているのが現状で、事実上、ポイントサービスは容認状態になっていた。

 そのため、厚労省の事務連絡でも、保険調剤でポイントのような付加価値を付けることは医療保険上ふさわしくないこと、患者による薬局の選択がポイントの提供によるべきではないことの原則を明確に示し、地方厚生局には調剤ポイントサービスを行っている薬局に国の考えを伝えるよう求めたが、「一部負担金の1%」を超えてポイントを付けることは認めないというものだっただけに、現状を追認したとも受け取れ、ドラッグストア側は歓迎しているというのが現状である。

“かぜ”に抗菌薬勧めず‐国が適正使用へ手引き

 “かぜ”に抗菌薬は効かない――。これまで漫然と外来診療で鼻水や咳などのかぜ症状に抗菌薬が投与されてきた現状に対し、ようやく国が適正使用に向けた手引きの作成に乗り出した。厚生労働省がまとめた素案では、ウイルス性の急性気道感染症のうち、いわゆる“かぜ”には抗菌薬投与を行わないことを推奨した。

 手引きは、外来診療を行う医師などに抗菌薬が必要な状況、必要でない状況を判別できるよう日常診療を支援することを念頭に置いた内容とし、不必要な抗菌薬が処方されていることが多いと見られる急性気道感染症、急性下痢症に焦点を当てている。

 特に手引きでは、“かぜ”を含めた急性気道感染症について、原因微生物の約9割がウイルスとされるとし、細菌が関与する場合はごく一部と強調。鼻水などの鼻症状、喉の痛み、咳や痰などが同時に出るウイルス性の急性気道感染症を「感冒」とし、感冒には抗菌薬投与を行わないことを推奨した。

 急性鼻副鼻腔炎に対しては、細菌性でも抗菌薬投与の有無にかかわらず2週間以内に約7割の患者が治癒するとされ、抗菌薬投与群で副作用の発生割合が多いなど、欠点が利点を上回る可能性があることから、軽症例では抗菌薬投与を行わないことを推奨した。

 ただ、鼻水などの症状が中等症・重症の場合のみ抗菌薬投与を検討することとし、基本的にはアモキシシリンを5~7日間内服することを推奨。耐性菌である危険性が高い症例や1次治療が効かない人には、アモキシシリン/クラブラン酸を選択することなどを記載した。一方で、第3世代セファロスポリン、マクロライドは選択しないよう勧めている。さらに、急性下痢症には、まず水分摂取を励行した上で基本的に対症療法のみ行うとした。


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