就職戦線に異状あり?なし?‐各業界の動向を知ろう!~ドラッグストアの動向~

2017年3月1日 (水)

薬学生新聞

コンビニとの競争時代到来か

 最近のドラッグストア業界は、店舗数は毎年500店舗ほど増えているものの、業界規模の伸びは少ない。ドラッグストア業態の取扱カテゴリーのほとんどが業態シェア70%前後になっており、既に伸びしろがない状況だ。それでも、業界団体の日本チェーンドラッグストア協会(JACDS)がまとめたレポートによると、シェアの低い保険調剤や食品に力を入れている店舗は活性化傾向にある。保険調剤は、登録販売者の導入と処方箋の面への広がりによって、薬剤師の不足状況はあるものの、ドラッグストア調剤併設店舗が増加している。最近ウエイトが拡大している食品は、店舗の大型化、多店舗出店によって商圏が狭小化している中、かえって地域住民から食品の取り扱いへの要望が大きくなっており、その結果、売上を伸ばしている状況につながっているようだ。

 実際、主な大手ドラッグストア企業の決算状況を見ると、大幅な増収増益を達成した企業がある一方、微増収にとどまっている企業もあるなど好調さにバラツキがある。17年2月期の中間決算を見ると、大幅な増収増益を達成したのがウエルシアホールディングス。売上高は前年同期比34.6%増となったほか、利益面もいずれも二桁の伸びを示した。

 同HDは、自らの健康を自ら守る取り組みが民間で行われる時代になったことに非常に大きなチャンスと手応えを示しており、取り組みを進める24時間営業やウエルカフェ構想が成長し続けるための必須条件と位置づけている。

 一方、業界レポートでは、今後の調剤報酬は下げられる傾向にあり、これまでのような利益は望めなくなること、安さと便利さで顧客を獲得してきた食品についても、市場の減少や需要構造の変化、狭小商圏によるコンビニエンスストアとの競争激化という様々な要因から、ドラッグストアという業態を牽引するカテゴリーであり続けないとし、冷静な視点で先を見据えている。ドラッグストア業界は、これまでの安くて便利な買い物の役割だけでなく、超高齢社会においてどのような役割や機能を果たす業態に進化できるのか。そこに成長を占うカギとなる。

 こうした中、ドラッグストア業界・企業でも新たな動きや試みが始まっており、新しい需要に対応するドラッグストア店舗も出現してきている。10年前には赤ちゃんのオムツが売れた地域が、今ではほとんど売れず、最近は高齢者のオムツが売れている。それがドラッグストアの実態である。

 これは高齢化社会では、地域の需要や買い物が一変することが示された象徴的な現象であり、今後の地域社会の中でドラッグストアが果たすべき機能や求められる役割を考えた上で、ドラッグストアは様々な取り組みに挑戦しなければならないことを示している。さらに今後、ドラッグストア業界では、コンビニエンスストアとの競争が本格化することが見込まれている。

 特に、コンビニの独自機能である24時間サービス、行政サービス窓口など公的機関・業務との連携拠点の取り組みが脅威になると考えられている。そのため、ドラッグストア独自の特徴を強化する商品、サービス、情報提供、人材育成、システム化に投資して、独占機能を充実することが重要と考えられている。

 このように転換期を迎えているドラッグストア業界だが、最近になって新卒薬剤師の進路として受け入れられつつあるようだ。

 「医学アカデミー薬学ゼミナール」が薬学生を対象に行った就職動向調査では、ドラッグストアを第1志望業界とした薬学生が全体の10%を超え、調剤薬局、病院・クリニックに続いた。ドラッグストアに対しては、地域に密着している点や、今後の将来性、患者だけではなく一般者とも触れ合える健康サポート機能への関心などが挙げられ、特に“OTC薬を扱いたい”という理由からドラッグストアを目指す学生が増えたことは注目される。

 ドラッグストア業界も高齢化による役割の変化やコンビニとの競合など、大きな転換点にあり、しかも変化の動きは早い。こうしたことを十分に研究し、将来有望な企業を選びたい。



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