2013年度の薬系大学卒業者の初任給は、就職先によりかなりの幅があることが、薬学教育協議会のまとめた「平成25年３月 薬系大学卒業生・大学院修了者就職動向調査」報告から分かった。就職先として最も多かった「薬局」の初任給のピークは、今回も昨年度と同様に「24～26万円」だったが、「26～28万円」の比率が伸びており、概ね初任給は増加傾向にあるようだ。「一般販売業（ドラッグストアなど）」は男女ともに「30万円超」が最も多く、昨年度に比べさらに“高額シフト”が進んでいるようだ。病院は昨年度と同様に国公立系が「20～22万円」、私立系はやや高く「22～24万円」がピークだが、国公立系の初任給は「16～20万円」の割合が減少、少しずつ私立系の分布に近づこうとしている。医薬品関連企業のうち最も就職が多い「医薬情報担当者」部門では若干の男女差はあるものの４～５割を「24～26万円」が占めていた。
図：薬局の初任給分布
図：私大・一般病院等の初任給分布
病院薬局は国公立系も底上げ進む
初任給の調査は、就職者8749人のうち回答が得られた6764人（71.3％）についてまとめている。薬局の初任給は3601人（男性1427人、女性2174人）から回答があった。男女ともほぼ同様の分布だが、女性のピークは「24～26万円」（30.2％）、男性は「26～28万円」（23.0％）と男女で若干の違いが見られる。「24～28万円」で括ると男性の43.9％、女性の58.5％が占めた。ただ、男性では「28～30万円」「30万円超」の割合が女性より多く、「28万円超」が女性の22.4％に対し男性は32.9％、さらに男性では「30万円超」が19.1％という高い割合であった。勤務地との関連性が推測される。
一般販売業については521人（男性262人、女性259人）が回答。男性で66％、女性も73％が「28万円超」であり、薬局よりも全体的に“高額”であることがうかがえる。
病院・診療所の薬剤部（科）の給与については、▽国立大学法人付属病院・独立行政法人病院（国立大・独法）▽公立大学法人付属病院・自治体病院・自治体診療所（公立大・自治体）▽私立大学付属病院・一般病院・一般診療所（私立大・一般）――に３分類し集計している。
「国立大・独法」221人（男性88人、女性133人）は男性の56.3％、女性の60.9％が「20～22万円」だった。薬学教育が６年制に移行したことを踏まえ、従来の４年制薬学部卒薬剤師の初任給に相当する医療職俸給表（二）２級１号俸（17万8200円）から、同２級15号俸（20万0800円）へと引き上げられたが、「公務員給与」も、それぞれ21.5％、19.6％であり、これを加えると概ね８割近くが「20～22万円」の枠にあるといえる。昨年度は「20万円以下」が男性30％、女性44％だったが、今年度はそれぞれ11.9％、11.4％と大幅に減少し、初任給の底上げが進んだことがうかがえる。
「公立大・自治体」も概ね「国立大・独法」と同様の分布だが、男女とも約39％が「20～22万円」、「公務員給与」はそれぞれ27.0％、24.7％であり、男性の66％、女性の64％程度が「20～22万円」、さらに男性の20.7％、女性の16.9％が「22～24万円」であり、「国立大・独法」に比べ若干だが、“高額シフト”にある。
「私立大・一般」は1289人（男性446人、女性843人）が回答した。「公立大・独法」に比べてもやや高額にシフトし、ピークが「22～26万円」となり、昨年度「20～22万円」が男女それぞれ34％、35％であったのに対し、「20～22万円」はそれぞれ31.4％、34.8％に、「22～24万円」はそれぞれ32.7％、34.9％となり、特に男性では「24～26万円」が16％から19.7％へ増加、逆に「20万円以下」が減少。「24万円超」が男女それぞれ26.2％（昨年度23％）、22.4％（26％）と男性で若干の“高額シフト”傾向がうかがえる。
医薬品関連企業のうち「医薬情報担当者」442人（男性273人、女性169人では、昨年度と同様「24～26万円」が最も多く男性52.4％（昨年度49％）、女性43.2％（41.1％）と半数近くを占めた。「24万円超」で括ると男性は68.1％、女性73.4％とほぼ７割が24万円を超えており、調剤現場よりも高額となっている。
