中外製薬は、4月に初期臨床開発に特化した「トランスレーショナルクリニカルリサーチ」(TCR)本部を新設すると発表した。中外初のグローバル組織となり、自社創薬した開発品について、研究段階で構想した有効性を臨床で再現する「POC」取得までを迅速化するのが狙い。小坂達朗社長は、1月28日の決算会見で、「POCまでに全ての資源を投入し、グローバル大手と同じ質とスピードでデータを出していきたい」と語った。
TCR本部の新設は、昨年8月に中外と親会社ロシュが、全ての中外開発品について、早期POC段階でロシュに導出を打診する契約へと変更したのが背景にある。小坂氏は、「研究から有望な薬剤が出たときに、開発スピードが非常に大事になっている」と指摘。現在進めている中期経営計画「ACCEL15」でも最優先課題として、「グローバル開発の加速」を掲げているが、「グローバル大手と肩を並べて、承認を取っていくには、中外の規模では小さすぎる」との考えから、早期POC取得までの期間に、資源を集中させる体制にシフトした。