科学的根拠に基づく薬学教育の実践や改革を進めるべきだ――。来年8月に予定されている日本薬学教育学会の設立に向けた準備シンポジウムが6、7の2日間、摂南大学薬学部と京都薬科大学で開かれ、薬系大学教員ら約110人が参加した。設立準備委員会の中村明弘氏(昭和大学薬学部教授)は学会設立の意義を解説。薬学教育は、薬学部や大学院における教育に加え、病院や薬局、企業で行われる生涯教育も対象になるとし、幅広い方面からの参加を呼びかけた。来年1月から会員募集を開始する計画だ。
中村氏は、改訂された薬学教育モデル・コアカリキュラムについて「改訂作業に関わったが、薬学教育に関する論文を参考にして改訂を行うなど、科学的根拠に基づいた改訂は十分に行えなかった。改訂のための科学的根拠が乏しかった」と説明。次の改訂では「独自の教育の工夫によってどのような学習効果が得られたのかなどについて、学術的観点からまとめて公表し、ピアレビューを行った上で認められたものを改訂に反映させることが必要ではないか」と呼びかけた。
6年制薬学教育の開始後「これまでは制度作りに追われてきたが、10年経った今、実施している教育内容を科学的なアプローチで検証し、共有して、相互に批判してより良いものにしていく必要がある」と指摘。