4月1日から新たな診療報酬、調剤報酬が実施された。調剤報酬の目玉は、かかりつけ薬剤師指導料(270点)が新設されたことだ。
同指導料は、かかりつけ薬剤師が処方医と連携して患者の服薬状況を一元的・継続的に把握してから服薬指導等を行うことを薬学管理料として評価するというもので、薬剤師個人を調剤報酬で評価する仕組みは初めてと見られる。
患者1人に対して、1人の薬剤師のみがかかりつけ薬剤師指導料を算定することができ、かかりつけ薬剤師の名前が入った同意書を作成して患者に署名してもらう必要がある。
また、他科の受診だけでなく、併用薬、嗜好品、生活習慣、健康食品の摂取の有無を含めてすべての服薬状況を管理する必要がある。
かかりつけ薬剤師の要件は、▽3年以上の薬局勤務経験がある▽同一店舗に6カ月以上在籍▽週32時間以上勤務▽薬剤師認定制度認証機構が認証している研修認定制度等の研修認定を取得している▽医療にかかる地域活動の取り組みに参画――などで、全てを満たす必要がある。
営業時間外にも患者からの相談に応じるため、電話番号を教えるなどの対応が求められる。ただ、電話対応はかかりつけ薬剤師でなくてもかまわないため、当番制を取る薬局もあるようだ。
そもそも、なぜこのような指導料が創設されたのか。現在、医薬分業の普及率は7割にまで上昇したものの、多くの薬局では医師の処方箋をもとに調剤して渡すことに終始しており、「患者のために本当に役立っているのか」との批判があったためだ。
これを受け、厚生労働省は昨年10月下旬に「患者のための薬局ビジョン」を策定し、全国約5万7000軒の薬局を患者本位のかかりつけ薬局に再編する方針を打ち出した。
ビジョンのサブタイトルには、『「門前」から「かかりつけ」、そして「地域」へ』を掲げ、本文に「大病院に隣接した薬局を中心に、建て替え時期などを契機に立地も地域へ移行し…」などの文言を盛り込み、中長期的視野に立った薬局再編の道筋も示している。
厚労省は、調剤報酬で薬局のかかりつけ機能を評価し、門前薬局を適正化する方向性について、「累次にわたる改定で対応する」としており、2016年度改定がその第一歩となった。