日本CRO協会が業界説明会を開催

2013年9月1日 (日)

薬学生新聞

若手社員によるパネルディスカッション

若手社員によるパネルディスカッション

 日本CRO協会(JCROA/一木龍彦会長)は7月23日、都内で大学の就職担当者を対象にしたCRO業界説明会と企業・大学側の関係者による懇談会を開催した。協会は、売上1000億円、従業員数1万人超という規模にまで成長したCRO業界をアピールしたほか、2桁で増え続けている新卒採用状況も説明した。そのほか、若手社員によるパネルディスカッションも行われ、CRO入社のきっかけや就職してからの実感、今後の目標など、生の声を就職担当者に届けたことが大きな特徴である。先輩たちは、「礼儀、マナーをしっかりと身に付けて」「CROは人と人との仕事なので、コミュニケーションスキルが一番大事」など、後輩たちに役立つアドバイスを伝えた。

伸び続ける安定成長の業界‐グローバルな競争を展開

 会合冒頭、一木会長があいさつに立ち、「協会ができて20年経つが、会員による売上は20年間伸び続けており、従業員数も増え続けて1万人を超える、浮き沈みのない安定成長している業界である。医薬品開発はグローバルでの競争であるので、CRO業界でも優秀な学生が求められている」と訴えた。

 続いて渡辺敏彦副会長が、業界の現状と将来見通しについて説明した。会員数は28社(正会員16社、準会員5社、賛助会員7社)となっているが、構成業種を見るとCROだけではなく、大手情報関連企業なども名を連ねている点が特徴だ。製薬企業がCROへ業務委託する理由については、人員削減、効率化、蓄積された高度なノウハウ活用などを挙げると共に、今後もニーズが高まる背景を述べたほか、仕事に関しては、モニタリング業務を行うモニター(CRA)をはじめ、データマネジメント/統計解析、品質管理、ファーマコヴィジランスなど多種多様な仕事があることを紹介した。

 最後に、CROはこれまでの単なる受託企業から脱皮して、「臨床評価を担うインテリジェンスな自立したプレーヤーを目指し、製薬企業の真のパートナーとなる」ことにチャレンジしていることを強調し、優秀な人材をCROへ送ってくれるよう求めた。

 業界の新卒採用状況については、南丈裕広報CTリーダーが報告。

 JCROAが正会員、準会員に実施したアンケート調査結果(20社回答)では、新卒採用人数は2011年4月入社の312人に対して、12年4月入社は382人と22.4%増え、さらに13年4月入社予定では約470人と約23%アップの見込みであることを紹介し、業界として順調に採用人数が伸長している実態をアピールした。

 学部別採用状況は、最も多い薬学(6年制薬学部、薬学研究科・4年制薬学部)をはじめ、理工学、農学、生命科学、医療衛生、獣医、教育、人間科学、医学系研究科、文系からも採用実績があり、多様な学部から採用しているCRO業界の特徴が分かる。

多様な「医薬品開発」にやりがい‐知識とコミュニケーション力が大切

 入社5年目の若手社員によるパネルディスカッションには、モニタリング担当者として、日揮ファーマサービス臨床開発第一部の林奈緒子さん、シミック臨床開発部の山東崇紀さん、データマネジメント・統計解析/分析担当者として、三菱化学メディエンス・バイオアナリシス研究部の石杜周子さん、メディサイエンスプランニングDM・統計解析部の佐藤俊太朗さんの計4人が登壇した。司会は井上一成広報CTサブリーダー。

 パネルでは、「自社製品だけを扱うメーカーと異なって、いろいろなメーカー、領域の医薬品開発に携われる」とCROを選んだ理由や、「患者さんに開発中の医薬品を早く届けられる」「DMではCROのノウハウを提案できる」「依頼者とのパイプ役となって長くうまくやっていくこと」など、仕事をしている中でのやりがいが紹介された。

 また、「医療機関で医師に薬の説明をする際に、大学で学んだ知識が役立っている」「尊敬されるプロジェクトリーダーになって、人材育成に取り組みたい」という実体験や将来の目標も語られた。

 後輩学生への助言としては、「働き始めてからも勉強、予習復習が大事」「CROは敷居は高くないので、興味を持ったら説明会で生の声を聞いて」「実際に働いている人と話すと職業についてイメージしやすくなるので、積極的に説明会に足を運んでほしい」「礼儀やマナーを身に付けておくと、業務へスムーズに入れる。特に言葉遣いには気をつけて」などとアドバイスした。

 さらに必要な資質については、「人と情報を共有するモニターでは、コミュニケーションスキルが一番大事で、スケジュール管理や情報伝達での正確性も大切」「ベストに近づけるためには反省、振り返ることも必要」と答えていた。

 CROに興味を持った薬学生諸君は、ぜひCROに就職した諸先輩に会って、悩みや課題をぶつけて解決の糸口を見つけてみてはいかがだろうか。



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