田辺三菱製薬の三津家正之社長は、23日に都内で記者会見し、他社と開発品・製品、技術の導出入を行う“シェアリング・オープンイノベーション”戦略を通じて、創薬力の向上とスピードアップを狙う。「旧来のオープンイノベーションは、創薬シーズや新規技術の獲得を主眼に入れたインバウンドの一方向の研究開発だったが、パートナーと双方向でシェアリングしていきたい」と述べ、自前主義から脱却し、創薬から育薬まで長期にわたる協業モデルを構築していきたい考えを示した。新たなアプローチとしては、他業種企業と連携して人工知能を活用した創薬もスタートさせる。
米国ではベンチャー起源の新薬が全体の6割以上を占める一方、日本は自社創製が多くの割合を占め、オープンイノベーションが浸透していない。三津家氏は、「技術や製品を自社で囲い込むビジネスモデルは限界を迎えており、オープンイノベーションからシェアリングへのパラダイムシフトが求められる。シェアリングは研究・開発・営業の構造を変える」と述べ、研究開発の見直しの必要性に言及。今後、自社創薬シーズと社外シーズを半々の割合にし、開発プロジェクト数を倍増させる計画だ。