【厚労省】15年度の概算医療費41兆円‐C型肝炎薬が薬剤料押上げ
厚生労働省は9月13日、2015年度の医療保険と公的負担医療分を合わせた概算医療費を公表した。前年度に比べて3.8%増の41兆4627億円と40兆円を突破した。特に調剤医療費(電算処理分)は、C型肝炎治療薬の抗ウイルス剤など化学療法剤の伸びが薬剤料を押し上げた結果、9.3%増の7兆8192億円と大幅に伸長し、8兆円に迫る勢いを見せた。
厚労省の分析では、医療費の伸び率のうち、C型肝炎治療薬などの高額薬剤が1%程度影響したとしており、医療費増と高額薬剤の関係が見て取れた。
医療費の内訳を見ると、入院が1.9%増の16.4兆円、入院外+調剤が5.4%増の22.1兆円となった。電算処理分の調剤費の内訳は、薬剤料が11.3%増の5兆9783億円、技術料が3.8%増加し1兆8283億円に達した。薬剤料を詳しく見たところ、薬剤料は9.2%増の7299円と大幅に伸長した。そのうち、内服薬の処方箋1枚当たり薬剤料の伸び率9.8%の要因を分析すると、1種類1日当たり薬剤料が8.6%と大きく伸びていることが影響していた。
内服薬の薬剤料の総額を薬効分類別に見ると、C型肝炎治療薬「ソバルディ」「ハーボニー」など高額薬剤の登場を背景に、抗ウイルス剤を含めた化学療法剤が4751億円と前年度に比べて約3000億円、249.1%増と約2.5倍の伸びを見せた。
日本調剤が水野薬局買収
大手薬局チェーンの日本調剤は、東京文京区内で薬局2店舗を展開する合同会社水野を買収した。日本で最初の調剤薬局として知られる「水野薬局」を経営し、業界最先端とされるICTを活用した効率的な店舗運営などへの取り組みが知られるが、日調の傘下入りを決断した。
日調は、長年の歴史で培われた水野薬局の運営ノウハウを既存店舗に活用することにより、大きなシナジー効果を見込んでいる。
水野薬局は1909年に開局し、医薬分業の先がけとして、64年には日本で初めての調剤薬局「水野調剤薬局」を開設。80年代には薬歴のIT化推進に着手するなど、先進的な薬局業務を追求してきた。2015年11月期の売上高は27億8800万円と黒字経営を維持しているが、水野善郎社長は「昨今の薬歴未記載問題に対する業界団体の対応に疑問を覚えた」とし、「社会的にもコンプライアンス責任を持つ公開企業の日調に水野薬局ブランドをお任せすることにした」と理由を説明した。
一方、日調の三津原庸介常務は、記者会見で、業界最先端のICT、高度薬学管理機能強化、薬局業界での高いブランド価値のシナジーを強調した。今回の水野薬局の買収に関しては「店名、システムは当分の間、変更はない」としているが、水野薬局の経営陣は全員退任し、日調から役員を派遣するほか、両社のノウハウを活用するため、相互の人事交流などを検討していくことにしている。さらに、水野薬局が加入している薬剤師会、日本保険薬局協会に関しては、引き続き加盟を継続するという。