日本CRO協会(JCROA/植松尚会長)は11月11日、恒例となった説明会を開き、CRO業界の現状と新卒採用状況などを大学のキャリアセンター、就職課担当者に説明すると共に質疑応答を行った。協会は、この説明会などを通じてCROの職種としてモニタリング業務だけではなく、データモニタリング、安全性情報など多くの業務があることをアピールしていく方針である。また、説明会終了後には交流会も開かれ、活発な意見交換が行われた。
社会貢献サービス業
会合の冒頭、植松会長は、「開発支援業務は多岐にわたり、CROの業務も拡大して、その役割と重要性が認識されてきたと思う。日本発の医薬品、医療機器の開発を国としても支援している。より良い薬をより早く患者に届けることが世界中で求められている。CROは“より早く”という部分で役割を発揮することで、社会への貢献を担っている。ぜひ、優秀な学生をCRO業界に推薦してもらいたい」とあいさつした。
CRO業界については、JCROA情報戦略CTリクルートチームの渡辺健二氏がパワーポイントを使って説明した。まず、製薬業界を取り巻く環境の変化やCROへ業務委託する背景などを述べた後、JCROA会員の総売上高と従業員数が順調に伸長している成長産業であることを訴えた(図)
CROという業種は認知されてきたものの、その職種はというとモニターくらいしか認知されていない状況にある。CROには、主要な職種として臨床開発モニター(CRA)のほかに、データモニタリング(DM)/統計解析(ST)、安全性情報(ファーマコヴィジランス)など、多様な職種があり選択の幅が広いことを強調した(図)
コミュニケーション力を
新卒の採用状況(会員17社調査)に関しては、同チームの中屋昌宏氏が説明した。2017年度の入社予定者は839人で前年765人を74人上回っている。男女比は男性342人:女性497人で、これまで同様4対6の構成比である。出身別では、修士が371人(46.3%)、4年制学部241人(30.0%)、6年制学部190人(23.7%)、その他37人(4.4%)で、薬学系は245人(32.0%)、薬学系以外520人(68.0%)と薬学系以外が約7割に達している。
その学部別の採用社数は、薬学系の6年制12社、研究科・4年制13社、理工学系16社、農学系13社、生命科学系14社などが多いが、他にも医療衛生系、獣医系、その他理系、文系からの採用実績(各7~8社)もある。
採用担当に聞いた学生の印象については、「人当たりが良く、礼儀正しい学生が多かった」「素直で勉強熱心」「真面目な学生が多かった」という好印象の一方、「大人しくて物足りない」「積極性に欠け、熱意が感じられない」「ハウツー通りの面接で、変化球を投げると慌てる」という芳しくない声も聞かれた。
CRO業界が求めている学生に必要なスキルについては、従来からコミュニケーション力であるとされている。最近は、以前よりもコミュニケーション・スキルは上がっているということだが、今後もこのポイントは重視されていくと見られている。