【キャンパスライフ】学生映画コンクールで「佳作」受賞‐部員の手作りでホラー映画を制作 日本薬科大学6年 杉田安弘さん

2017年5月1日 (月)

薬学生新聞

映画研究同好会のメンバー(中央が杉田さん)

映画研究同好会のメンバー(中央が杉田さん)

 日本薬科大学薬学部薬学科6年の杉田安弘さんは、映画研究同好会の代表を務め、監督を担当したホラー映画「レンサ~リンケージ~」を昨年2月に開催された第5回学生映画コンクールに出品。制作部門で見事に「佳作」を受賞した。学生の目線で制作した映画を学生が評価するという趣旨で開催された同コンクールにおいて18作品の中から選ばれた。「驚きと喜びが混じっています」と受賞の興奮を語る杉田さん。同好会は設立から日が浅く、限られた予算と少人数の部員で映画を作るしかなかったが、出演者全員がスタッフを兼任し、工夫を重ねて完成にこぎつけた。楽しみながら作品づくりに励むことで、次の賞の獲得を狙っている。体が弱かった子供の頃から、親身に健康の相談に乗ってくれた薬剤師という職業に憧れ、日本薬大に入学した杉田さん。統計解析を学んでいる現在は、新薬開発を支援するCROへの就職を目指し、就職活動と薬剤師国家試験に向けた勉強に励む日々を送る中、「作品づくりにも挑みたい」と創作意欲を燃やし続けることも忘れない。

同好会設立から1年で初の快挙

 映画「レンサ」は、同級生を殺害した主人公が共犯者を引き連れてマンションの廃墟に遺体を埋めるが、遺体が幽霊となって犯人を一人ひとり追い詰めていくというストーリー。

撮影中の風景。メンバーは役者とスタッフを兼任する

撮影中の風景。メンバーは役者とスタッフを兼任する

 2015年の2月から3月にかけて、2週間という短期間で集中的に作品づくりに取り組んだ。脚本の書き方を知っている人がいなかったため、ストーリーづくりの基礎から学び、メンバー全員が役者とスタッフを兼任。外部から参加した役者を含めた計11人で完成させた。出番がない時に、カメラや照明、録音などを分担して行い、効果音の一部以外は全てが手作りで、殺害や流血などの過激なシーンは撮影しなかった。杉田さんを除き、演技の勉強をした人はいなかったが、「演技指導をすると役者のモチベーションを落とし、撮りたい画が撮れなくなる」との考えから、自然体を追求。タイトな日程で各々のスケジュールが合わず、整合性がないシーンが出て撮り直すことも頻繁にあった。

 議論が白熱することもあったが、全員が納得するまで次のステップに進まなかった。出演者のほとんどが演技未経験者だったため、撮影中に笑ってしまうシーンが多くて苦労したが、「撮影したシーンを確認する作業は面白い」と出演者全員が口を揃えるという。杉田さんも「演技中の自分の認識と、実際に確認したものとで違いが生まれるのが面白いですね」と語る。

殺害された女性が犯人たちに復讐するストーリー

殺害された女性が犯人たちに復讐するストーリー

 映画のジャンルは、カメラの画質の問題から「ダークな雰囲気の作品が向いている」と考え、ホラー映画の制作を決めた。30分程度の長さで、制作費は5万円前後。撮影機材も全て自分たちで調達した。

 作品は、「学生の目線で作ったものを学生が評価する」というコンセプトを掲げた第5回学生映画コンクールに出品し、18作品の中から他大学2校と共に制作部門の佳作を受賞した。審査員による論評がなかったため、受賞理由については「分からない」としつつも、同好会設立から1年での受賞に「驚きと喜びが混じっています」と率直に喜びを語った。一方で、他の受賞作品を鑑賞し、撮影技術や演技力など完成度の違いも実感し、より質の高い作品づくりに向けて刺激を受けたようだ。今回の受賞によって活動実績が大学から認められて部室を提供されるなど、幸先の良いスタートを切った。

手作りの遺体を埋める

手作りの遺体を埋める

 同好会では「撮りたいものを撮る」というスタンスのもと、様々なジャンルの作品づくりに挑戦している。ヒューマンドラマやコメディが中心で、脚本は書きたい人が書いている。ほとんどの作品を大学構内で撮影しており、「レンサ」も部室棟内や庭で撮影した。部員7人の多くが、以前はボランティアサークルに所属しており、引退後に「何かやりたい」という気持ちを持った人が集まり、一昨年の2月に同好会を立ち上げた。

 現在、撮影中の作品はないが、オープンキャンパスに訪れる生徒向けに制作した作品が夏以降に使用される予定だ。新入生を勧誘するため、完成した作品ではなく、メイキング映像を使って映像作品を作ることの楽しさを伝えているが、新入部員の数は伸び悩んでいる。ただ、同好会の発足後、新しいサークルが数団体発足するなど、大学内に新しい風を吹き込んだ。映像系のサークルが他にないことから、杉田さんは「今後も長く活動が続いてほしい」と同好会への思いを語る。

 人前に立つと赤面する癖を治したいとの思いから、高校入学と同時に演劇部に入部した杉田さん。役者として活動に打ち込み、主役も2回ほど経験した。大学では演劇系のサークルがなかったことから、ボランティアサークルに入った。映画や小説などを鑑賞する際にも、登場人物の立場をイメージして想像力を養う。「楽しみながら撮影することを心がけています」と杉田さん。幼少時は体が弱く、親身に健康相談に対応してもらっていたことがきっかけで、薬剤師になるという夢を持った。大学では、統計解析を学び、CROに就職することを目標に就職活動と薬剤師国家試験の勉強に励んでいる。そんな忙しい中でも「作品づくりにも挑みたいです」と創作意欲を絶やしていない。



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