【国試予備校の現場から】認知科学の不思議

2019年7月1日 (月)

薬学生新聞

メディセレスクール社長
児島 惠美子

児島惠美子氏

 こんにちは。メディセレのしゃっちょう、児島惠美子です。

 ここにきて再び、薬学部新設に関する話が各地で具体化してきました。2020年4月に岐阜医療科学大学と国際医療福祉大学大川キャンパスで、21年4月には和歌山県立医大と湘南医療大学で新設されるようですね。このほかにも2大学が検討中です。

 1989年から昨年にかけて国内の18歳人口は約4割減少しています。ニッチだった薬学部は一大勢力になるのでしょうか?その一方で、薬剤師国家試験に6年間で合格できた学生の割合は、ある大学では100%、ある大学では19%となり、大きな格差が生じています。

 一度、学習方法を見直してみてもいいかもしれません。人は自分の興味のあることは良く覚えています。好きなミュージシャンの曲や歌詞、趣味のことなど、そんなことも知っているの?と驚く時もあります。このように興味のあることは記憶に定着し、興味のないことは忘れるように人間の脳はできています。皆さんは薬学に興味がありますか?私は興味があります。見た目の同じ白い錠剤が、中の成分によって頭痛に効いたり、ホルモンだったりして身体に効いていくのですから、興味津々です。

 リンダ・ハモンド氏(スタンフォード大学)の認知科学の知見によると、テストのために覚えたことの90%は忘れてしまうとのこと。なんともったいないことでしょう。「やらされている」と認識すると、「なるべく省エネでやりたい」というマインドが働くそうです。それが忘れることにつながります。

 以前、薬剤師国家試験に5回も落ち、メディセレに来てやっと合格した子から「国試に合格したこともうれしかったが、実家に帰って母の病気に気づき、早期発見に自分が役立てたことがうれしい。メディセレで勉強して良かったです」と連絡を受けたことがありました。私自身も、とてもうれしかったです。彼女は国試合格のための知識だけでなく、人に役立つ本当の知識を身につけたんだとわかったからです。

 「この錠剤を飲んで下さい。必ずあなたの身体の調子を整えてくれます」。この一言を言わせてもらえる『薬剤師』という信用に値するよう、人の役に立つ知識をつけていきましょう。



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