ニュースダイジェスト

2019年9月1日 (日)

薬学生新聞


【人事院】公務員薬剤師、初任給1500円増‐6年連続引き上げ勧告

 人事院は、2019年の国家公務員給与である月例給(基本給)を0.09%、ボーナス(期末・勤勉手当)も0.05カ月分引き上げるよう国会と内閣に勧告した。4月分の減額前給与が民間よりわずかに下回ったことから、俸給表の水準を引き上げると共に、ボーナスに当たる特別給の支給額を増額する。病院等に勤務する公務員薬剤師は医療職俸給表(二)が適用され、6年制薬剤師の初任給(2級15号俸)は21万0500円となり、昨年に比べて1500円アップ。引き上げ額は一昨年の1000円、昨年の1200円に比べて増加した。引き上げ勧告は6年連続となる。

 国家公務員の給与は、民間企業の4月分の給与を調査した上で比較し、官民差を埋めることを基本に勧告を行っている。特別給(期末・勤勉手当)についても、民間ボーナスの過去1年間の支給実績を把握し、国家公務員の支給月数を合わせている。

 給与勧告を行うため、全産業をカバーする全国約1万2500の民間事業所の約55万人を対象に個人別の給与を調査した。それによると、今年4月の減額前の国家公務員給与は民間を平均387円(0.09%)下回り、ボーナスは昨年8月から今年7月までの民間の支給割合が4.51カ月となったのに対し、公務員の支給月数は4.45カ月とわずかに下回ったことから、民間の支給割合に見合うよう0.05カ月引き上げることにした。

 公的病院等に勤務する薬剤師は、栄養士、臨床検査技師、理学療法士、作業療法士等と共に医療職俸給表(二)が適用される。薬剤師の初任給は21万0500円と昨年より1500円アップした。

 今年の国家公務員給与等実態調査では、医療職俸給表(二)の適用職員数は476人と前年より増えた。平均年齢は46.2歳と昨年に比べて0.1歳上がり、平均経験年数は20.9年と昨年同様だった。

 従業員50人以上の事業所を対象に今年4月現在の民間給与実態の調査結果も公表された。準新卒の薬剤師初任給は、時間外手当や家族手当、通勤手当等を除き平均22万8790円となり、昨年から3123円のダウンとなった。昨年の大幅アップから一転した格好だ。

 企業規模が500人以上では22万4993円と、昨年の23万1208円から6215円の大幅ダウンとなった一方で、100人以上500人未満では23万6567円と昨年からさらに3055円アップ。500人以上の企業より100人以上500人未満の企業で初任給が高い状況は拡大しつつある。

 民間給与は、企業規模全体で見ると昨年から一転してダウンし、公務員薬剤師の初任給と比べて500人以上の企業では給与差が1万4500円程度と縮まったものの、100人以上500人未満の企業とは2万6000円程度の差に広がっている。

 医療関係職種の時間外手当を差し引いた4月支給分の平均給与額を見ると、薬剤師が平均年齢37.0歳で33万0742円、薬剤師2人以上の部下がいる薬局長は平均年齢50.2歳で47万8247円と昨年に比べて1797円減少し、2年連続のダウンとなった。

 一般の薬剤師の平均給与は前年のアップから一転して1万2521円の大幅ダウンとなり、薬局長は昨年の約8000円の減収に続くダウンとなった。

【厚労省検討会】ガスモチンのスイッチ化「可」‐ミオナールは「否」

 厚生労働省の「医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議」は、スイッチOTC薬の候補となる2成分を評価した。消化管運動機能改善剤「モサプリドクエン酸塩水和物」のスイッチ化について「2週間の服用後も症状が改善されない場合は医療機関を受診すること」を条件に「可」とした一方、筋緊張改善剤「エペリゾン塩酸塩」は「否」と結論づけた。前回会合でスイッチ化を「可」とした過敏性腸症候群(IBS)改善剤「ポリカルボフィルカルシウム」の判断は変わらなかったものの、安全性確保の面から、厚労省がセルフチェックシートの原案を作成した上で、12月の次回会合で示すこととした。

 大日本住友製薬のモサプリドクエン酸塩水和物(ガスモチン錠)のスイッチ化について、日本消化器病学会、日本臨床内科医会、日本OTC医薬品協会は、重篤な副作用が極めて少なく、安全性が高いことなどから、「可」と判断した。

 上村直実委員(国立国際医療研究センター国府台病院名誉院長)は、「OTC化は問題ない」としつつ、「服用開始から2週間後に症状がないかセルフチェックシートで確認できるようにすべき」と述べた。湯浅章平委員(章平クリニック院長)も「医療機関を受診して肝機能をチェックすることが必要。2週間をメドにOTC化を認めるのがよい」との考えを示した。

 他の委員からも肯定的な意見が相次いだことから、検討会議は、2週間服用しても症状が改善されない場合は服用を中止し、医療機関を受診するよう情報提供することを条件に同剤のスイッチ化を「可」とした。

 エーザイのエペリゾン塩酸塩(ミオナール錠)に関しては、OTC薬協がスイッチ化を「可」とする一方、日本整形外科学会と日本臨床整形外科学会は「否」とする考えを示した。

 五味渕聡志参考人(日本整形外科学会社会保険等委員会担当理事)は「腰痛、肩こりは専門家でも非常に診断が難しい症状で、セルフメディケーションに適した医薬品であるかは疑問だ。生活習慣の見直しや運動療法も必要で、服用すれば治るというものではない」と反対。長島公之委員(日本医師会常任理事)も「腰痛、肩こりの原因となる疾患は極めて多種多様で、治療法としてきめ細かい生活指導が必要」と述べたことなどを踏まえ、検討会議は同剤のスイッチ化を「否」と結論づけた。

【第104回国試】バランス良く出題‐私立薬大協が報告書

 日本私立薬科大学協会は、第104回薬剤師国家試験の検討結果について報告書をまとめた。国試に関しては、「全出題領域にわたって、基礎学力を問う問題から思考力・応用力を要する問題までバランス良く出題されていた」と総括した。また、出題内容の誤りや国試としての妥当性への疑問、不自然な状況設定などがあったと指摘。今後の問題作成に反映させるよう厚生労働省に求めた。

 報告書では、2月23日と24日に実施された第104回国試について、「七つの全出題領域にわたって基礎学力を問う問題から思考力・応用力を要する問題までバランス良く出題されていた」と総括。具体的には、「グラフ・図・化学構造などの与えられた情報から総合的に判断・考察する力が要求される問題が多く、総合するとほぼ適切」「最近の社会情勢を加味した問題や図表から情報を読み取る形式の問題が多く、しっかりと理解した上で考えさせる工夫された良問が多かった」などと総評した。

 ただ、理論問題については、物理・化学・生物、衛生の4連問は「応用問題としてよく考えられた良問」と評価しつつ、こうした題材は限られることから、今後細かい知識を問うことにならないよう求めた。

 4連問以外にも、薬理における化学構造の出題や薬理と病態・薬物治療の連問など領域間の連携を高く評価。実践問題についても、基礎と臨床(実務)の複合性が高まり、臨床における基礎の重要性が感じられる良問が増えたとし、「今後もこのような出題を続けてもらいたい」と要望した。

 一方、第104回国試でも、厚労省が採点に当たって考慮した問題と公表した問題以外に、誤りがあると判断された問題、問題の観点から不適切である問題があったと指摘。今後の問題作成に反映するよう厚労省に求めた。

【中医協】かかりつけ、地方で浸透せず‐無薬局町村の問題も指摘

 中央社会保険医療協議会は7月10日に開催した総会で、2020年度診療報酬改定に向け、地域包括ケアシステムにおける医療のあり方について議論した。複数の委員が地域医療での薬局・薬剤師の役割に言及。地方でかかりつけ薬剤師制度の浸透が進んでいないことや、薬局が設置されていない「無薬局町村」の問題に関心がない自治体がある現状を指摘する声が上がった。

 厚生労働省は、18年度診療報酬改定において地域包括ケアシステムの中で地域医療に貢献する薬局を新たに「地域支援体制加算」で評価し、医療資源が少ない地域の薬局を評価対象としたことを説明。また、全国約150の町村で薬局が設置されておらず、薬局薬剤師数に地域差がある実態などを示した。

 染谷絹代委員(静岡県島田市長)は、多くの患者が診療所の門前薬局を使用している地方の実態を挙げ、「かかりつけ薬剤師制度を推進しているが、現実には難しいのが現状」と指摘。また、山間部の居住患者は医療機関までの交通手段が限られ、苦労しているとの現状を紹介し、「地域医療構想の理念に沿った診療報酬の見直しをお願いしたい」と注文をつけた。

 これに対して、有澤賢二委員(日本薬剤師会常務理事)は「患者と薬剤師できちんと対話が行われれば、薬剤変更で体調が悪くなったなどの情報を薬剤師はしっかりと把握しているので、地域住民の目線でかかりつけ薬剤師を選んでもらいたい」とかかりつけ機能の重要性を強調した。

 無薬局町村に関しては、間宮清委員(日本労働組合総連合会「患者本位の医療を確立する連絡会」委員)が「在宅医療を考えると、地域の薬剤師にかかりつけ薬剤師として活躍してもらうことは患者にとって頼りになる。無薬局町村を減らす取り組みを検討すべき」との考えを述べた。

 有澤氏は「薬剤師が常駐できる薬局を置きたいが、行政の支援が必要だ。少しずつ無薬局を解消しているが、この問題に興味がない自治体もある」と課題を指摘。「地域住民がどのような状況にあるか都道府県で把握し、薬剤師会で協力できるところは協力したい」と対応を約束した。

 一方、松本吉郎委員(日本医師会常任理事)は、「大病院が地域に患者を戻すことに一層取り組むことが前提」としつつ、「まずは薬局の数と偏在を是正すべき。病院薬剤師の不足も深刻で、国家資格取得後に医療機関での研修・勤務を義務づけるなど、臨床医並みの薬剤師教育の深化が必要」と訴えた。



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