【医学アカデミー薬学ゼミナール】薬剤師国家試験対策「知識の横断的な活用」

2019年11月1日 (金)

薬学生新聞

薬理科目責任者 猪又 雄太、薬剤科目責任者 横井 宏哉、病態・薬物治療科目責任者 後藤 健太

 多様かつ複雑な医療の現場において、薬剤師が医療の担い手として真に役割を果たすには、修得した知識を最大限発揮して責任ある行動をとることが求められます。近年の薬剤師国家試験では、第106回薬剤師国家試験から適用される「新出題基準」や「改訂コアカリ」を意識した科目の壁を超えた問題など「総合的な力」「考える力」を必要とする出題が見られます。他科目とのつながりを意識し、知識を横断的に活用しましょう。実際の活用例について、第104回薬剤師国家試験を用いて紹介します。

薬理学の出題例

<横断的なアプローチ>

 本設問は、血小板凝集抑制薬の作用機序に関する薬理の範囲での出題です。薬理では、抗血栓薬において作用点を把握することが最も重要ですが、作用点に結合した後にどのような現象が起こるかを生物の知識とリンクさせることも重要です。これにより、血小板凝集抑制薬が理論問題や実践問題に出題された場合も正答を導くことが可能になります。

横断的なアプローチ(生物から薬理へ)

●新青本※(生物)「血液凝固・線溶系の機構」より引用
血小板活性化機構

薬剤学の出題例

<横断的なアプローチ>

 本設問は薬剤の範囲での出題ですが、治療の知識をつなげることでアプローチが可能です。

 母胎血と胎児血は血液胎盤関門で隔てられており、多くの薬物の胎盤透過はpH分配仮説に従った単純拡散によって行われ、分子量が小さく脂溶性の高い薬物ほど、母体から胎児へ移行しやすいです。したがって、インスリンのような高分子は膜透過性が乏しく、母体から胎児への移行性が低いと考えられます。薬剤ではこのような「膜透過性」を考え選択肢1を選択します。

 一方、治療において、「妊娠時の糖尿病に対して禁忌ではない薬剤」としてインスリンがあげられます。胎児への移行性が高く危険性が高い場合には禁忌となりますので、治療の知識を用いて選択肢1を推測することもできます。

横断的なアプローチ(治療から薬剤へ)

●新青本※(治療)「妊婦への投与禁忌と有益性投与の薬物」より引用

胎盤の構造

病態・薬物治療学の出題例

<横断的なアプローチ>

 本設問は病態・薬物治療の肝硬変における検査値に関する出題ですが、生物の知識をつなげることでアプローチが可能です。

 病態・薬物治療では肝硬変において肝機能が低下した際にどのような検査値の異常が生じるかを把握することが重要となります。ベースとなる生物の知識として、肝臓がどのような物質を産生し、代謝を行っているのかを確認することにより、「正常→異常(疾患)」の変化を確認することが可能となります。

横断的なアプローチ(生物から治療へ)

●新青本※(生物)「肝臓の機能と特徴」より引用

肝臓の構造

つなげて学修しやすい範囲とその対策

 具体例を提示したように、近年の薬剤師国家試験では各科目の知識だけでなく、関連する科目の知識を活用することで正答を導くこと重要になっています。以下に、つなげて学修しやすい範囲について例示します。皆さんが学修する上での助力になれば幸いです。

 ※引用:新出題基準に対応した第106回薬剤師国家試験対策参考書(新青本)は、2019年秋にカラー版として発刊予定です。



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