わたしの「1日」~業界の先輩に聞く~ 薬局タカサ オアシス柏店 小川純弘さん

2021年3月1日 (月)

薬学生新聞


より良い在宅医療へ奮闘

小川純弘さん

 千葉県を中心に調剤薬局50店舗を展開する薬局タカサのオアシス柏店(柏市)に勤務する小川純弘さん。入社4年目ながら、管理薬剤師として在宅医療を専門とする同店で活躍している。患者とのコミュニケーションを重ねて信頼関係を構築し、服薬状況を正確に把握。地域の多職種連携会議にも参加し、より良い在宅医療のあり方を模索している。

 在宅医療に関わりたいとの思いを抱いていた小川さんは、帝京平成大学薬学部を卒業後、地元の千葉県で在宅医療に注力する薬局タカサに2017年に入社した。小児を中心とした患者が来局する豊四季店を経て、19年に在宅患者の対応を専門とするオアシス柏店に配属された。5人のスタッフをまとめる管理薬剤師として勤務している。

小川さんの1日

 2月のある日、小川さんは9時頃に出勤し、パソコンの起動やスケジュール確認など開店準備を行った。

 9時半からは、20人ほどの患者が入居する高齢者施設の訪問診療に出向く医師に同行。医師との話し合いを経て、一人ひとりの治療方針が決まった。

 11時頃に店舗に戻り、処方内容の監査を行った。ある患者の体調悪化により、処方内容の変更指示があったため、変更に対応した。

 12時から1時間休憩した後、13時から訪問予定患者の薬剤管理、指導の準備を進めた。

患者宅の訪問に向かう

患者宅の訪問に向かう

 14時に患者宅を訪問し、薬剤の管理、指導を行った。この日は、患者、地域包括ケア単位で、医師や看護師、ケアマネージャー等で構成される地域の多職種連携会議にも薬局代表として参加した。

 17時頃に薬局に戻り、監査や薬歴記入、閉店作業などを行い、18時に退勤した。

 小川さんが進路を意識し始めたのは、中学生の頃。父と祖母が病気で倒れ、定期的な服薬が必要となった。しかし、服薬のしにくさや副作用への恐れを食事中の会話でも訴えるようになったため、薬に関する知識をつけて家族の不安を少しでも和らげたいと思い、薬学部への進学を目標に据えて学習に励んだ。

 10年に大学へ進学。当初は調剤薬局で外来患者の対応業務に携わることを将来像として描いていたが、5年生時に曾祖母の在宅医療が始まり、薬剤師の活躍を目の当たりにしたことで、在宅医療の道に進む決心をした。

 患者の自宅を訪問することで知ったのは、希望していなかったにも関わらず、在宅医療を選択せざるを得なかった人がいることだ。薬剤師や医師等の医療者による訪問を快く思っておらず、「薬を玄関先で渡したら帰ってほしい」と求める患者もいた。服薬の有無を確認できず、当初はコミュニケーションの取り方に悩んだという。

 しかし、小川さんは「誰もがしっかりとした治療を受けてもらいたい」との思いを持ち、根気強く訪問を重ねた。患者との会話も増え、服薬のしにくさや身体の痛みなどを訴える声を拾い、医師にフィードバック。治療内容の改善につながり、次第に患者の信頼を得られるようになった。

 小川さんは、患者の信頼を得て「ありがとう」と言われることに最もやりがいを感じている。健康サポート業務で、薬に限定せずに幅広い知識を活用できる点にも喜びを覚えているという。

 医師の訪問診療に同行した際には服薬していると回答した患者がいたが、後日に粉砕して服薬していたことが分かり、医師に処方変更してもらうケースもあった。服薬の有無という2択だけでなく、患者の回答を引き出すコミュニケーションの重要性も痛感した。

 新型コロナウイルスの感染拡大が続く状況下で、高齢患者と毎日接する在宅医療では特に感染対策の徹底が求められる。オアシス柏店でもマスク、手洗い、うがいを心がけ、体調管理に細心の注意を払っている。小川さんは「医療者を自宅に上げたくないから、玄関先で最低限の会話をして終了する場合もある。患者さんは想像以上にコロナに敏感になっている」と現状を語る。

 地域の多職種連携会議でも、患者宅での滞在時間を減らすこと、電話で予め患者の状態を把握して訪問後すぐに様子を確認できるようにすることなどで合意している。

 医薬品医療機器等法(薬機法)の改正などで、在宅医療に関する実績を薬局に求める流れが強まっている。小川さんは「患者さんによって、大切にしていること、生活、経済状況、家族構成などが異なる。背景や希望をくみ取ることで、患者さん本人だけでなく、家族や介護の主体となるキーパーソンの方々も含めて、より良い治療につなげられる薬剤師になりたい」と今後の抱負を語る。



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