わたしの「1日」~業界の先輩に聞く~ 栃本天海堂 漢方薬局ハレノヴァ 清水涼さん

2022年1月1日 (土)

薬学生新聞


悩み聞き取り漢方薬提案

清水涼さん

 「いわゆる西洋薬の治療効果にも限界があるのを感じる中で、古来中国から伝わり、日本の中で独自に発展してきた漢方薬の効果に魅力を感じています」と語る清水涼さん。2009年に京都薬科大学卒業後、病院薬剤師勤務などを経て、17年に大阪市北区にある「漢方薬局ハレノヴァ(HALENOVA)」で薬剤師として勤務するようになった。

 同薬局は漢方薬の原料である生薬や西洋ハーブなど厳選した天産物を世界各国から輸入し、国内で販売事業を展開する漢方薬専門の卸、メーカーである栃本天海堂の直営店でもある。同薬局は13年に内外装を立ち寄り易い雰囲気にリニューアル。その後は、20~40代の女性の来局者も増加している。同薬局でのメインである漢方相談では、様々な身体の諸症状や悩みに対する相談を聞いた上で、患者ごとの「証」に基づき、薬剤師が調剤する煎じ薬や粉薬を提供している。

 初来局者の漢方相談時に、漢方相談質問票に主な悩みや体質等を記載してもらい、その質問票をもとに、現在の身体の状態をヒアリングし、必要に応じて脈や舌を確認する。相談から漢方薬を手渡すまで約1時間を費やすこともあるようだ。

 清水さんは大学を卒業後、鍼灸の専門学校に進学し、はり師、きゅう師の国家資格を取得する。東洋医学では患者の状態を四診(望診・聞診・問診・切診)で判断するが、清水さんが薬学生だった当時、薬剤師が患者の体に直接触れることは違法のような扱いとされていた。はり師、きゅう師の資格取得でその懸念をより払拭したいとの考えもあったためだ。

 清水さんと漢方の出会いは学生時代。自身の症状に対して、ある漢方薬を服用したことで劇的に改善したという経験を持つ。その後、漢方薬の授業でさらに興味を持つようになり、漢方に関連した仕事に従事したいと考えるようになった。鍼灸の専門学校卒業後に、病院薬剤師として勤務する傍ら、清水さんの地元である京都を拠点に活動する「京都漢方研究会」に所属。現在の薬局への就職は、当時の関係者の紹介によるものだ。

清水さんの1日

 清水さんは、会社から電車で15分ほどの場所にある自宅から通勤。薬局をオープンする10時前に出社。開局前の下準備などを整え、予約制の漢方相談の対応にも備える。漢方相談に訪れる人の多くは女性で、女性特有の悩みや更年期障害などの相談に対しても親身に受け止めて話を聞く。そして、一人ひとりの悩みと体質に合わせた漢方薬を選択し、健康的に年齢を重ねていくための提案も併せて行っている。

 調剤室には150種類ほどの生薬を配置しており、日中は、煎じ薬の薬局製剤から一般の処方箋の調剤業務にも対応する。特に煎じ薬の調剤には多くの時間を費やすことになるが、清水さんは「漢方相談で自分がお渡ししたお薬で患者さんの症状が改善した時に、とてもやりがいを感じる」と話す。

薬局では、生薬製剤の販売も行う

薬局では、生薬製剤の販売も行う

 このほか、店頭での商品販売以外にも電話やネット通販などでの受注に対する発送業務までをこなす。「例えば、民間薬として昔から飲まれている『どくだみ』や『せんぶり』から牛の胆石で貴重な生薬である『牛黄』まで、様々な注文を受け付けています」と清水さん。中国など現地での買い付けや栽培、製造から販売までを一貫して行う栃本天海堂の直営店であることから、生薬、民間薬、漢方薬、ハーブ、健康食品など天然の生薬関連製品の多くを取り扱っている特長を生かせる。

 ホームページのブログやインスタグラムなどの更新作業など「新たなお客さんに来ていただくための作業を行っている」という。また、発送品封入用チラシや店頭にある商品紹介チラシの作成も行う。19時に閉局。その後、レジ締めの作業を終え業務を終える。清水さんは業務とは別に2時間ほど、会社の資料などを活用し漢方の勉強を行う日もあるという。

 漢方の考え方では身体の不調に対する主訴を取り除くことも大事だが、それにつながる体質改善も含め治療する。その両面からアプローチしていくことが大切になる。清水さんは「漢方相談薬局として地域の方々が、気軽に健康相談ができる場所を提供していきたい。その上で、身体の悩みの諸症状を漢方薬で解決できることがあることも含めて、身近な薬であるという啓発にも取り組んでいきたい」とする。漢方薬に興味のある薬学生に向けては、「何らかの漢方の勉強会に積極的に参加してみることが大事。そこで次に進むべき道や新たな発見があると思う」とアドバイスをくれた。



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