【シリーズ メンタルトレーニング】第1回 絶対的プラス思考で乗り越えよう!

2015年9月1日 (火)

薬学生新聞

薬剤師国家試験予備校メディセレ取締役社長
児島 惠美子

児島惠美子氏

 こんにちは。薬剤師国家試験予備校メディセレの社長、児島惠美子です。

 私は薬剤師でもあり、心理カウンセラーでもあります。日本で6年教育なのは、医学部・歯学部・獣医学部と薬学部だけ。6年の間には様々な出来事があります。薬学部は知識だけでなく、実は体力、精神力も必要な学部です。なんてったって、医療人になるわけですから。ここで皆さんと共に様々な事に乗り越えるコツを考えていきましょう。

ピンチの時こそチャンス

 夏休みが終わりましたが、楽しみましたか?少しは勉強もしましたか?他の学部が大学生活を謳歌している中、薬学部は試験に追われます。薬学部に来るんじゃなかった~と思う人もいるかもしれませんが、大丈夫。社会人になった時に差がつきます。

 メディセレには「どうすれば薬剤師になれますか?」とたくさんお電話がかかってきます。優秀な大学を卒業していても、薬学部ではないのです。薬学部を卒業しないと受験資格すらもらえないことを伝えると、皆さん「大学受験の時に将来を考えて、もっと学部を考えればよかった」と悔しそうに諦めます。そう考えると皆さんは薬学部に来ているのです。人生一歩リードです。

 とはいえ、勉強をしなければいけません。勉強って、すぐに結果が出るわけでないのです。そこでくじけてしまう気持ち、わかります……。

 先日、ノーベル物理学賞を受賞した名古屋大学天野教授にお会いした時に、「朝9時から夜中の1時までする実験を1500回失敗した。でも楽しかった」とおっしゃいました。

 そんな状況をなかなか楽しいとは言えませんよ。なんというプラス思考でしょうか!そう、このプラス思考が成功のコツなのです。

 どのような状況下においても、プラス思考を持ち続けられるのか。しかもこのプラス思考、相対的ではないです。誰々さんよりはましだから頑張ろう、という相対評価ではなく、誰とも比較しない、「絶対的プラス思考」を持ってもらいたいのです。

 だって、私って世界で一番不幸かもしれない……と思ってしまう日が来てしまうかもしれません。なにせ、悪いことは重なる傾向にありますから。そんな時、相対的プラス思考だと行き詰まってしまいます。

 だからこそ、絶対的プラス思考なのです。どんな状況に陥っても、「無理矢理」プラスに考えられるか。ピンチの時こそチャンスだ!と思えるか。なのです。

 そうすればどんな危機も怖くない。危機は能力開発のチャンスなのですよ!勉強しても結果が出ない?なんでも、飛び立つときは一度屈んだ方が遠くまで飛べるので、今はその時期です。

結合双生児ドクちゃんとスクール生が質疑

 ベトナム戦争の時、アメリカ軍が撒いた枯葉剤による影響で足が11本あるカエルなどが生まれましたが、その影響は人間にも大きく出てしまい、下半身がくっついた結合双生児として生まれたベトちゃん・ドクちゃんが日本では有名です。

 彼らは7歳7か月の時に日本が分離手術をし、成功しました。ベトちゃんは残念ながら亡くなったのですが、ドクちゃんは今も元気で結婚してお子さんも2人います。そのドクちゃんが先日、メディセレに遊びに来てくれました。

ドクちゃんを囲んで

ドクちゃんを囲んで

 スクール生からはいろいろな質問が出てきました。

 結合している時は喧嘩しなかったのですか?

 「くっついていてもそれぞれ性格は違うので、行きたい方向も違うので、しょっちゅう喧嘩していました」

 今までで一番うれしかったことはなんですか?

 「やはり、分離してもらえた時です。自分の好きなところに行けるので。でも、少し寂しかったです」

 というものから、だんだん勉強している医療の質問へ。

 血液型は同じなのですか?

 「同じO型でした」

 一人が風邪をひいたら、二人ともひくのですか?

 「ひきません。なので、片方の動きは悪くなっても片方は元気なので、引きずって動いてしまうので看護師さんに叱られました」

 片方の足を叩いたら、二人とも痛いのですか?

 「いいえ。臓器を共有していましたが、足は1本ずつしか感じませんでした。それで分離手術の時、足が1本ずつになりました。生殖器は1つしかなかったので、僕がもらいました。だから僕は子供ができましたので、ベトには感謝しています。日本のおかげで分離してもらえたので、名前はサクラとフジサンと名付けています」

 枯葉剤を撒いたアメリカの事をどう思いますか?という質問も出てきたので、ドクちゃんは医療人となるスクール生に語りかけてくれました。

 「ベトナムの人口は9200万人ですが、今なお400万人に枯葉剤の影響があります。ざっと、23人に1人です。25mプールにたった小さじ1杯の枯葉剤で、1週間後には木々は全て枯れてしまうのです。戦争は、死ぬことはもちろん怖いですが、化学兵器は子孫に影響をずっと残してしまうので、本当に恐ろしいものなのです。二人の子供にいつ影響が現れるのかと心配しています。薬を撒いたアメリカ兵に恨みはありません。ただ、もう絶対戦争はしてはいけないと思います。化学兵器を創ってほしくないです」と。

 化学を学ぶ薬学部にいる私たちは、化学を人の役に立つ事に使わないといけないとみんなで話しました。


 薬学生がストレートで5年生に進級する率は全国で約70%です。さらにストレートで卒業して、国家試験に合格する率はここからさらに低下します。決して「楽」ではない学部です。まずは親御さんに薬学部の現状を知ってもらいましょう。薬学の現状を知ってもらうことは必要な事です。

 メディセレでも保護者会をすると、皆さん、知りませんでした。もっと早く知っていれば、子供に優しくしたのに……とおっしゃる親御さんは多いです。一方、親御さんがならせたい職業第3位が薬剤師なのですから、親孝行者になるのももうすぐなのです。だからお母さん、協力してね!と根回しをしておきましょう。

 さぁ、社会で活躍する薬剤師になるため、様々な困難を乗り越えていきましょう!



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