三菱ケミカルホールディングスの生命科学インスティテュートは、急性心筋梗塞を対象としたMuse細胞製品「CL2020」の国内探索的臨床試験を開始する。東北大学から生まれた日本発のMuse細胞を用いた治験は世界で初。岐阜大学医学部附属病院などで急性心筋梗塞6例を対象に実施し、「CL2020」を単回投与、1年半程度の期間で試験を実施する予定。試験結果から試験後の開発計画を決める方向だが、再生医療で設けられた条件付期限付早期承認制度も有効に活用し、2021年度の承認を見込む。
Muse細胞は、間葉系組織に存在する生体由来の多能性幹細胞であり、東北大学の出澤真理教授らにより発見され、ヒトの多様な細胞に分化する能力を持つ新たなタイプの多能性幹細胞。外胚葉、内胚葉、中胚葉の三胚葉系に分化し、もともと生体内の間葉系組織内に存在する自然の幹細胞のため、腫瘍化の懸念が低いのが特徴。細胞が傷害組織に集まりやすく、目的とした細胞に分化誘導する必要がなく、静脈投与するだけで自発的な分化によって傷害で失われた細胞を補充する再生機序を持つ。