【医学アカデミー薬学ゼミナール】知識の横断的な活用を考える

2018年11月1日 (木)

薬学生新聞

薬理科目責任者 猪又 雄太、薬剤科目責任者 横井 宏哉、病態・薬物治療科目責任者 後藤 健太

 多様な医療の現場において、薬剤師が医療の担い手としてしっかり役割を果たすには、習得した知識を最大限発揮して責任ある行動を取ることが求められます。そのような社会背景の中で、薬剤師国家試験(国試)では「総合的な問題解決能力」を確認する問題が出題されています。

 具体的には、薬学実践問題や薬学理論問題において、他科目とのつながりを意識した出題が散見されています。以下に第103回国試での出題例をもとにアプローチの方法を紹介します。

薬学理論問題での出題例(薬理)

■第103回薬剤師国家試験 問154

<横断的なアプローチ>

 本設問は薬理の出題ですが、病態治療の内容をつなげることでアプローチが可能です。

 黒質-線条体ドパミン神経系はパーキンソン症候群の発症、中脳腹側被蓋野-大脳辺縁系路(側坐核)ドパミン神経系は統合失調症の発症に関与していることを思い出すことができれば、後は薬理の知識(作用機序等)で正答を導くことが可能です。

<解答>2、3

薬学実践問題での出題例(薬剤)

■第103回薬剤師国家試験 問269

<横断的なアプローチ>

 本設問は薬剤の出題ですが、病態治療の内容をつなげることでアプローチが可能です。

 インスリン療法では健康な人のインスリン分泌パターンの再現を目標に治療が行われます。設問中のインスリン デテミルは投与方法が1日1回就寝前であることから、食後のインスリン追加分泌の再現を目標とした超短時間型ではなく、基礎分泌の再現を目標とした持効型と考えられます。また、血糖値の降下を治療目標としているため、等張化剤としてD-グルコースが用いられる可能性も低いと考え、正答を導くことができます。

<解答>3、4

理論問題での出題例(病態治療)

■第103回薬剤師国家試験 問182

<横断的なアプローチ>

 本設問は病態治療の出題ですが、薬理実務の内容をつなげることでアプローチが可能です。

 ドネペジルは中枢性コリンエステラーゼ阻害薬であり、同じ作用機序を持つ薬物であるリバスチグミン、ガランタミン臭化水素酸塩の併用はしないこと、あるいはドネペジルの用量は3mgから開始し、10mgまで増量できることから正答を導くことができます。

<解答>1、4

つながる範囲とその対策

 具体例で提示したように、近年の国試では各科目固有の知識だけでなく、関連する他科目の知識を活用することで正答を導くことができる問題が多くあります。そのような問題を解くためには、それぞれの科目の知識をしっかりと習得した上で、他科目に関連する内容をつなげて勉強しましょう。以下に、医療系科目のつながりについて提示します。皆さんが学修する上での参考になれば幸いです。



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