【薬学生 キャリア相談Q&A】「患者を想う薬剤師」になれるか不安です

2025年6月15日 (日)

薬学生新聞

キャリア・ポジション代表取締役
西鶴 智香

西鶴智香氏

Q

 私は、あまり他人に興味がなく、例えば、その人がする洋服や趣味の話題についてあまり突っ込んで聞こうとも思いません。大体いつもひたすら聞いている、というか聞くふりをしています。大学で習う薬剤師の姿は、患者のことを気にかけ、想う薬剤師ですが、そんな薬剤師になれそうもなく、とはいえ、薬剤師としての就職を考えているので今から不安です。

A

 あまり他人に興味がない、ということですが、それでも話し手の前では一生懸命聞こうとしているようですね。相手を気遣い、素晴らしいことだと思います。

 他人に興味がない、という言葉の「興味」ですが、何を指すのかがポイント。例えば、その人は趣味にお金をいくら使っているのか、お小遣いはどのくらいなのか、親は何をしている人なのか、等の個人の私生活すべてに興味を持つ人もいるようですね。SNSなどでそのようなすべてをさらけ出しアピールしている人を見て、興味を持つ人もいるのかもしれません。私ですか?私はそのようなことにほとんど興味ないかな(笑)、他人は他人、自分は自分ですしね。

 話を元に戻しますが、医療職になるにあたって、患者に興味を持つことはとても重要なポイントなのですが、それは今お伝えしたような、個人的な趣味、嗜好に興味を持つことを意味するのではありません。医療職に求められるのは、患者個人の私的な趣味、志向を知ることではなく、第一に、患者が自分の疾病に対する自覚(病識)を持っているかを知ることです。患者の病識が欠如している場合は、勝手に服薬を止めたり、通院を止めたりすることもあり治療効果が出にくくなりますので、特に服薬指導をする薬剤師にとっては重要なポイントですね。

 他には、服薬に対する考えを知ること。そもそも薬を飲むことに抵抗を持つ人もいますので、患者の考えを理解しておきたい点です。さらに、服薬して副作用は出ていないか、困っていること、疑問に思っていることはないのか、効果についてどう感じているのか、など、薬剤師が話しかけることで情報を得られます。

 このように、他人に興味があるかないかではなく、まずは、薬剤師が把握しておく必要がある患者情報について知らなければ、仕事の成果が出せないのです。あまり難しく考える必要はありません。私も、相談者さんの言う「他人に興味がない」に当てはまるのですが、職業のカウンセラーとして、その人の趣味、嗜好ではなく、「その人の悩み」には興味があるのです。薬剤師ならば、患者の「薬についての悩み」には積極的に興味を持ち、相談に乗ってもらいたいものです。



HOME > 薬学生新聞 > 【薬学生 キャリア相談Q&A】「患者を想う薬剤師」になれるか不安です

‐AD‐
薬学生新聞 新着記事
検索
カテゴリー別 全記事一覧
年月別 全記事一覧
新着記事
お知らせ
アカウント・RSS
RSSRSS