
薬剤師国家試験では、例年20題以上の計算問題が出題されています。直近3年間の回数別計算問題出題数は、108回国試25題、109回国試22題(うち問330は採点除外)、110回国試25題です。
薬ゼミ自己採点システムのデータによると、計算問題の平均正答率は、108回国試67.0%、109回国試53.8%、110回国試62.0%と3年間比較で110回は中等だったことがうかがえます。グラフに示す通り、正答率60%以上の比較的得点しやすい問題も含まれているため、111回国試に向けて学修を始める方は、既出問題のうち正答率60%以上の問題から解けるようにしていきましょう。
ただし、既出問題の丸暗記だけでは、計算問題を克服できません。式や問題の内容を理解しながら学修しましょう。計算問題の出題が多い物理、薬剤、実務について、薬ゼミの科目責任者が110回最新国試の具体的な問題を例に解き方のポイントを解説します(各問題の解答番号は問の最後に記載)。111回国試に向けて、早めに学修を始めましょう。
物理
110回国試_問5(参考正答率73%) 解答番号:1

科目の傾向、解き方のポイント
110回国試の物理の計算問題は、前回の7題から10題に増加しており、その重要性が一層高まっています。物理の計算問題には、頻出範囲と新傾向があります。
頻出範囲としては、「反応速度」「酸と塩基」「分光分析法」などが挙げられます。これらの範囲の演習に取り組む際は、三つのプロセス「[1]使う公式を思い出す→[2]指数・対数の計算→[3]単位変換」を意識して解法を進めてみましょう。
一方、新傾向問題では、問題文を注意深く読み解き、何を求める必要があるのかを正確に把握する力、必要な情報を適切に抜き出して計算する力が求められます。これらの点を意識しながら繰り返し演習を行い、最終的には自力で解答解説を再現できるレベルを目指して学修を進めていきましょう。
薬剤
110回国試_問169(参考正答率72.0%) 解答番号:5

科目の傾向、解き方のポイント
110回国試において、薬剤の計算問題は必須問題と理論問題で出題されています。既出問題で頻出の計算テーマ「投与計画」「バイオアベイラビリティ」「モーメント解析」「空隙率」を中心した出題であり、正答率60%を超える問題が多数ありました(薬剤領域全体の正答率も109回国試より上昇)
例示した問169は、肝初回通過効果により消失する割合が肝抽出率Ehと等しくなることを読み取り、肝クリアランスCLhと肝血流量Qhを用いて肝抽出率Ehを算出する。経口投与後の体内動態の解析(バイオアベイラビリティの計算)に関する基本的な出題であり、バイオアベイラビリティの計算に関する既出問題を学修していた方には得点しやすい傾向でした。
頻出範囲に関しては、既出問題や模擬試験などを活用して、用いるべき計算式が選択できるように学修しましょう。
実務
110回国試_問339(参考正答率84%) 解答番号:4

科目の傾向、解き方のポイント
実務では主に、散剤、液剤、消毒薬、注射剤、輸液に関する計算問題が出題されます。例年、難易度は平易~中等であり、ほとんどは既出問題の解法を応用することで解答が可能です。また、年によって多少の変動はありますが、問題数としては、平均すると3~4問が出題されています。
本設問は消毒薬を2段階で希釈する際の溶液の容量(体積)を考える問題であり、103回国試(問331)に出題された消毒薬の希釈計算の考え方を応用することで解答が可能です。
6%の溶液が0.01%の溶液へ希釈される時、濃度は1/600となります。その際、濃度変化と体積変化は逆数の関係にあるため、体積は600倍になります。選択肢4の通り希釈を行うと、体積変化より、1段階目で60倍、2段階目で10倍に希釈され、最終的に元の600倍に希釈されます。既出問題の解法を理解することが、国家試験の得点につながります。
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