【日本CRO協会】12年は二桁の成長‐植松理事長に聞く

2013年5月1日 (水)

薬学生新聞


製薬企業からの業務委託が加速

植松尚理事長

 製薬企業の医薬品開発をサポートするCRO(開発業務受託機関)が誕生して、今年で20周年となる。薬学生の皆さんと同じ頃に生まれてすくすくと成長し、人間でいえば成人式を迎えることになる。日本CRO協会が発表した2012年の年次業績によると、CROの総売上高は前年比11.6%増の1330億円と伸びてきている。製薬会社からCROへの業務委託が進み、今後もグローバル化や制度改正などの追い風を受けて加速する見通しだ。植松尚理事長に、裾野を広げながら拡大しているCRO市場の現状と今後の方向性などを聞いた。

 当協会が発足して20年が経ちました。最初の10年は、CROという業態を皆さんに知っていただくために様々な活動に取り組みました。その後の10年で、いろいろなことを学び経験して、今では製薬企業からの信頼を獲得することができたように思います。

 協会に加盟している25社を集計した12年の総売上高は、前年比11.6%増の1330億円と、当初予測を上回る成長を示しました。これまでの推移を見ても、08年の1025億円から右肩上がりで伸び、従業員数も08年の9027人から12年には1万2473人と増え続けています。13年も、売上高1437億円、従業員数1万3350人と順調に推移する見通しです。

 成長した背景には、製薬企業の事業構造が変化したことが挙げられます。数千億円以上の売上を計算できる生活習慣病領域の医薬品が出揃ったことで、治療満足度の低い疾患領域での新薬開発にシフトしてきています。医薬品開発のプロジェクト数が増え、製薬企業内で全てをやり遂げるよりも、CROに委託した方が早く販売できると考える会社が以前よりも増加しました。

会員の総売上高と従業員数の推移

会員の総売上高と従業員数の推移

 では、製薬企業からCROにどんな業務が委託されてきているのでしょうか。ヒトに医薬品を投与し有効性・安全性を評価する臨床試験が、正しく実施・記録・報告されているかを確認する業務(モニタリング)が最も多く、53%を占めています。次に、臨床試験等によって集積された被験者のデータを科学的に処理する業務(データマネジメント・統計解析)が23%と続いています。

 これらの業務は、医薬品開発のメインとなる重要な業務で、10%以上増加しています。それ以外に医薬品の承認申請のために必要な書類・論文等を作成する業務(メディカルライティング)なども受託しています。

 これまでは新薬開発の治験が中心でしたが、世の中に医薬品が登場した後の有効性・安全性を調査する業務などでも受託を拡大しています。開発段階だけでなく、医薬品が社会で使われるようになってからもCROが活躍しており、裾野が広がってきました。

新卒採用は20%以上の伸び

 モニタリング業務の受託プロジェクトを疾患別で見ると癌、中枢神経系が1、2位を占めています。専門性が必要とされる領域で製薬企業からの受託につなげることができるようになりました。ITシステムを使って被験者データを集める「EDC」の使用試験の割合も増加しています。

 特筆すべきことは、世界同時に医薬品開発を行う「マルチナショナルスタディ」が増えていることでしょう。製薬各社は、海外で販売されている医薬品が日本国内で承認されていない“ドラッグラグ”の解消に向け、いわゆる国際共同治験を実施しています。グローバルで効率的な医薬品開発を進める中で、CROを活用するようになっています。

 製薬企業のCROの活用率は、欧米に比べるとまだ低く、成長の余地は大きいと断言できます。さらに昨年末、臨床試験の憲法でもあるGCP省令が改正され、製薬企業からCROに委託できる業務範囲が、「一部」から「一部もしくは全部」となりました。委託業務範囲の拡大は、CROの需要が高まる契機になると思います。

 CROは積極的に新卒を採用しています。12年度は約310人、13年度は約380人と20%以上の伸びとなりました。来年度採用も20%以上を計画しています。新卒採用の伸びと合わせて、総従業員数が増え続けているように、新卒を採用してしっかり育てながら成長してきた業態なのです。

 会員企業は、新薬開発だけでなく、医薬品の臨床的有用性を証明する臨床研究などでも貢献し、医薬品産業で自立したパートナーになれるよう一生懸命頑張っています。今後の成長に向けては、薬学生の皆さんのような若い力が必要です。各社の事業内容やCROの職種に関しては、日本CRO協会のホームページに詳しく掲載していますので、ぜひご覧下さい。



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