遺伝子導入技術に強みを持つ「ディナベック」は、再生医療市場の成長を背景に、ヒトiPS細胞関連の再生医療製品の実用化に乗り出す。特許上の強みがあり、日本オリジナルのセンダイウイルスベクター技術を活用したiPS細胞作製キット「CytoTune-iPS」は、研究者向けに全世界で高いシェアを獲得している。今後は、アイロムグループでSMO事業を手がける「アイロム」や製薬企業と連携し、iPS細胞技術に基づく再生医療製品の臨床開発にチャレンジする。長谷川護技術顧問(前社長)は、本紙のインタビューに応じ、「研究支援ビジネスで培った実績を生かし、再生医療の事業化を実現させたい」と意欲をみせる。
同社は、1995年に遺伝子治療関連技術の開発を目的に設立された国家プロジェクトの運営会社「ディナベック研究所」がその前身となる。2003年に製薬企業4社等が出資し、研究成果を受け継いだディナベックとして設立・運営されてきたが、今年1月にはそれまで提携していたアイロムホールディングスの完全子会社として、新たなスタートを切った。