調剤・ドラッグストアの就職を希望する多くの薬学生は、あらかじめ希望する企業を3社以内に絞り込んでエントリーしていることが、薬剤師予備校大手「医学アカデミー薬学ゼミナール」のアンケート調査で分かった。情報収集経路は、就職サイトや企業のホームページ等のWeb情報が主体で、友人や先輩、親などに相談した上で、就職先を決め打ちする学生が多かった。一方、学生の声から就職活動の成功・失敗要因を探ってみると、「実務実習を考慮し、早期段階から活動を開始する必要性」が浮き彫りになった。
面接・面談に行った社数、約4割が「1社」に決め打ち
調査は、薬ゼミオンライン教室に登録する3976人を対象に、現状の6年生、既卒生と就業を控えた学生が就職についてどのように感じているのか、どんな点が就業の魅力につながるのかなどを把握するのが目的。8月5日から11日までの7日間でWebアンケートを行い、3387人から回答を得た。約7割が内定を獲得し、そのうちの約半数が「ドラッグストア」「調剤薬局」となっている。
エントリー企業は、「1~3社」が44.6%と最も多く、「4~6社」は20.1%、「7~10社」は10.4%となった。一方、「11社以上」と答えた学生も13.1%に上った。
エントリーしてみようと思うきっかけを聞いたところ、「就職サイト情報を見て」が54.5%と大半を占め、「企業のホームページを見て」が24.8%とサイト情報を重要視していることが分かった。「友人、先輩に勧められて」も24.0%と続き、Webサイトで企業研究を行いながら、身近な人の意見を聞いて、エントリー企業を絞り込む傾向がうかがえる。
エントリーした会社のうち、説明会に参加した企業数は、「1~3社」が53.6%と5割を超えた。逆に「11社以上」と答えたのは6.9%で、11社以上エントリーした学生のほぼ半分にとどまる。
説明会に参加する決め手を聞いてみると、エントリーしたきっかけとほぼ同様で、「就職サイトの情報」「友人、先輩からの勧め」「企業のホームページ」という状況。
さらに、説明会に何を求めているかを聞いてみると、「業界についての情報を得る」が64.7%と最も高く、「自分自身の知らないことを理解できる」が38.7%、「先輩のメッセージを聞ける」が32.6%となった。
面談・面接に何社行ったかという質問には、39.9%と約4割が「1社」と回答。「2社」が21.8%と続いた。内定獲得社数についても「1社」が47.9%、「2社」が20.4%という結果となった。
これらの調査結果からいえるのは、エントリー、説明会の段階で志望企業を3社に絞り込み、面談・面接で1社に決め、そこで内定を獲得している図式だ。内定を断った経験の有無についても、「ある」が31%、「ない」が69%と約7割の学生が内定を断っていなかった。
早めの準備が成功のカギ‐実務実習との両立は困難
内定獲得者に就職活動でうまくいった点を聞いてみた。第1位の「企業の情報収集」34.0%、「事前見学」32.4%、「面接での対応」27.9%が上位にきた。
学生の意見を拾ってみると、「4回生の3月から就職活動に向けた企業や業界研究を始め、夏にインターンシップに参加し、12月からはエントリーシートの書き方や面接対策を行った」「5回生の春頃から合同説明会に参加したりと、少し早めに情報を集めることで、興味のある企業を早く絞ることができた」。活動の開始時期は、「早ければ早いほど良い」という声が多く挙がった。
一方、就職活動で失敗してしまった点については、「面接での対応」が21.8%、「企業訪問数が少ない」が20.7%、「スケジュール立て」が17.8%の順。さらに「就職活動時期が実務実習と重なっていた」「始めたのが遅かった」「もう少し早く対策をしておいてもよかったかもしれない」などの意見を踏まえ、早期段階から準備することが成功するための必要条件といえそうだ。
最後に、来年3月の国家試験受験に向けて不安な点を聞いたところ、「勉強方法」「学習計画」といった準備方法に基づく意見が多かった。不安を払拭するために取り組むこととしては、「学校の先生とのやりとり」「対策講座の受講」「予備校などとのやり取り」を挙げた。
また、国家試験合格に向けたサポートを行う企業が出てくる中で、約58.5%がこうした企業に「魅力に感じる」と回答。「苦手科目に対する講義の実施」「オンライン教室のサポート」「夏期講習会・冬季講習会のサポート」などを求めており、職探しのポイントになりそうだ。