【日本CRO協会座談会】グローバルに広がるCRO

2013年7月1日 (月)

薬学生新聞

司会:
南 丈裕氏〈広報CT〉
参加者:
一木 龍彦会長
植松 尚理事長
内田 有美さん(シミックホールディングス)
西島 信明さん(CACエクシケア)

日本CRO協会座談会

 日本だけではなく全世界同時での医薬品開発を目的とした「国際共同治験」が増加している。様々な地域の患者さんを対象に、医薬品としての有効性・安全性を検討する大規模なプロジェクトで、厳しい審査を乗り越え承認されれば、全世界ほぼ同時期に患者のもとへと届けられる。新薬開発に国境がなくなりつつある中で、製薬企業の医薬品開発を支援するCRO(医薬品開発受託機関)の果たすべき役割も大きくなってきた。薬学部出身のCACエクシケアの西島信明さん、シミックの内田有美さんは、海外の開発担当者と日夜やりとりしながら、成長を続けている。今回は、日本CRO協会広報CTの南丈裕氏を司会に、一木龍彦会長、植松尚理事長を交えた5人にグローバルの医薬品開発業務に対するやりがいや魅力などを語ってもらった。

国内治験の知識・経験が土台

グローバルでの業務に応用

 ――まずは自己紹介をお願いします。

西島さん

西島さん

 西島 CACエクシケアに入社し今年で4年目になります。医薬品の副作用症例を収集・解析する「安全管理業務」の仕事をしており、チームリーダーとして業務に当たっています。

 内田 シミックホールディングスに入社後、CRA職として被験者データが記入された症例報告書の回収やチェックを行うモニタリング業務を5年経験し、その後アジア事業統括部に異動しました。今は、日本や欧米の製薬企業が台湾・韓国・中国・アセアン地域などへ展開するお手伝いをしています。

 ――就職されたときに、CROという職種はご存じでしたか。

 西島 情報誌にCROの求人が掲載されていて、製薬企業以外にも医薬品開発に関われる職種があることを知りました。製薬企業では、自社の医薬品の開発に力を注いでいきますが、CROではいろいろな製薬企業の医薬品開発に携われる分、仕事に広がりがありそうという印象で、それも面白いのかなと思いました。あと、CACエクシケアのもう1つの強みであるIT関連の仕事をしたかったというのもあります。

 内田 大学の授業でCROという職種を知り、就職活動をするときにはCROが1つの選択肢になっていたのと、実際に就職された大学の先輩もいましたので、ある程度イメージはできていました。

 新薬開発に携わりたかったので、製薬企業かCROかという2つの選択肢を持っていました。私は学部卒だったため、製薬企業の開発職への就職が難しいという現実もありましたが、1つの会社のやり方だけではなく、いろいろな会社のやり方を学びながら、いろいろな領域にもチャレンジしたいという思いもあり、CROを志望しました。

 ――お2人は海外という舞台で仕事をすることをどう捉えていましたか。

 西島 入社当初は、海外を相手に仕事をしているという実感はそれほどありませんでした。働いているうちに、グローバルを意識するようになってきました。

内田さん

内田さん

 内田 幼い頃海外で暮らしてきたので、いつかは英語をツールに仕事ができたらいいなと思っていました。最初は国内試験を担当していましたが、グローバル試験を経験した後、キャリアアップのために現在のアジア事業統括部に異動しました。

 ――普段の業務で、英語はどの程度使われていますか。

 西島 窓口を介して業務上のやりとりを行っています。日本語のものを英語に翻訳する業務がメインです。

 内田 私は海外にも出張で行きますし、頻繁にメールでのやり取りも行っています。電話会議なども英語でしています。

 ――“グローバルで働く”には、どんなスキルが求められますか。

 内田 国内の治験業務で培ってきた経験が基礎になっています。国内で学んできた知識やノウハウを土台に、どうグローバルでの業務に応用していくかが大事だと分かりました。基礎となる知識は日本も、グローバルも同じだと思います。

 西島 日本国内でやる仕事とは違って、言葉が通じない苦労はありますが、それでも自分の思いを相手に伝えなければなりません。英語力も大事ですが、それ以上に日本語で正確に伝える力を磨くべきではないかと思います。伝えたいことを相手に伝えられるスキルが基盤になるのではないのでしょうか。


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