厚生労働省の今別府敏雄政策統括官は11月23日、広島市内で開かれた第8回日本薬局学会学術総会で基調講演し、将来的な一般薬の医療費控除について、現行の医療費控除額の見直しの過程で「成立し得るのではないか」との考えを述べた。また、一般化してきた遺伝子検査の現状については「中長期の課題として対応が必要になる」とし、前任時代に規制の議論も行っていたことを紹介した。さらに今年、合格率が低下した薬剤師国家試験についても言及し、「(次回も)問題の水準を落とす必要はない」との認識を示した。
一般薬の医療費控除については、現在、厚労省は2015年度の税制改正要望で、一般薬を年間2万5000円以上購入した世帯に対し、最大50万円までを所得控除の対象とする制度の創設を求めている。今別府氏は、医療費控除が電子申請など簡略化されている部分があるものの「税制業務上、かなりの窓口負担となる」と指摘。また、来年度の税制改革では、「実現するかどうかは明るい見通しは立っていない」とした。
一方で、医療費控除利用者が増加する中、将来的な金額の引き上げや対象者を減らすというタイミングで「一般薬の医療費控除が成立し得るだろう」との考えを示した。