患者中心の医療に積極貢献
「自分から動いていけるから」。MRに就いた理由をそのように語るファイザーオンコロジー事業部門営業統括部東日本営業部東北営業所の吉見智幸さんは、東北薬科大学大学院を卒業後、医薬品情報担当者(MR)として病院などで抗癌剤の情報提供活動をしている。薬剤師免許も取得しており、病院や調剤薬局の薬剤師になる選択肢もあったが「患者さんが来るのを待つスタイルより、お薬を待っている患者さんを探して、自分から能動的に動いていけるところにMRの魅力を感じた」と当時の就職活動を振り返った。
オンコロジー領域で働きたいという希望は入社直後から既に持っていた。「オンコロジーは生命に直結した領域。それゆえに医薬品の適正使用に関しても責任が大きく、専門性が必要なので、薬学出身の薬学的な知識を生かせるのではないか」との思いが叶い、希望通りオンコロジー事業部門に配属された。
患者の生命に直結する出来事に遭遇した。医師から相談を受けた70代の女性患者。呼吸もままならない程に進行した肺癌を患っており、緩和ケアへの移行も検討されていた。
吉見さんは、医師と一緒に患者の症状からどのような治療が望ましいかを考え、患者の症状を改善できる薬剤があれば、その特徴を説明した。医師からの質問については、様々な文献を探して回答を行った。その結果、大きな信頼を獲得し、吉見さんが情報提供している薬剤が患者に処方されることになった。吉見さんの提案から、当初余命2~3カ月間と思われていた患者の生存期間を1年近くまで延ばすことができた。
「もうダメかもしれないと言われていたけれど、最近は非常に調子が良くなりました。思い出作りの旅行に家族と一緒に行くことができたのですよ」。患者が生前、医師にこんな言葉を話していたという。医師からも「吉見さんのおかげです。ありがとう」と感謝された。
「本当に嬉しかった。MRは直接患者さんとは、お話しできませんが、間接的にそういった話をうかがえて、MRをしていてよかったと思いました」。仕事を通じて、医師や患者に感謝された経験が大きなやりがいになっている。
就職活動をこれから開始する薬学生に対しては「視野を広く持ってほしい」とのメッセージを送る。吉見さんも「すぐにMRになろうと思ったわけではない」として、病院と調剤薬局の長期実習や、必ずしも志望していない会社のインターンシップも経験し、MRの職を選んだ。「自由に動ける学生のうちに、あえて興味のない分野でも積極的にインターンなどに参加し、経験を積んで視野を広げた上で、本当に自分が目指したい道を見つけてほしい」とエールを送った。