在宅で活躍する薬剤師

2015年1月1日 (木)

薬学生新聞


タカサ 平野 智康さん

平野智康さん

 在宅医療では千葉トップクラスの実績を持つ薬局タカサ。薬剤師歴11年目、在宅医療経験7年の平野智康さん(33)は、在宅や高齢者施設で療養している患者を訪問し、薬剤の配送・服薬説明を行っている。理想とする薬剤師像は、「医師から頼りにされ、患者さんからも信頼される薬剤師になる」。地域を回ると、「平野さん、今日もありがとう」という言葉が返ってきた。

個人宅・施設を訪問‐「元気になりましたね」と声掛け

 千葉都町店では、約400人の患者が在宅医療サービスを受けている。「顔と処方箋を関連づけ、患者さんの特徴を覚えていきます」。一人ひとりの特徴を頭にたたき込むために、ノートにメモを取り、付箋を貼るのが平野流。配薬の準備では、薬剤の取り違えがないかをチェックし、ミスがないよう細心の注意を払う。

 今日の訪問先は個人宅や施設で計10カ所。朝から夕方まで外出が続く。患者を訪問すると、「前よりも元気になりましたね。何か困ったことはありませんか」と笑顔で声をかけ、服薬状況や身体の状態を確認する。

 在宅医療サービスを利用する患者の大半は高齢者で、決められた時間に正しい量を服薬することが難しく、飲み忘れもしばしばある。服薬アドヒアランスが治療成果に直結するため、いかに服薬を支援していくかが薬剤師の役割だ。

 「くすりを飲んでもらうために、患者さんやその家族の方と話し合い、良い方法があれば私から提案するようにしています」と平野さん。例えば、「服薬カレンダー」を目に付く場所に張り、「朝」「昼」「夜」「寝る前」の収納ボックスに薬を入れて、服薬するタイミングで取り出して飲むといった方法も勧める。対話の中で服薬リスクとなる原因を探し、解決策を考える。

 “薬剤師さん”ではなく“平野さん”と呼び、患者も全幅の信頼を寄せる。「平野さんに疑問をぶつけても、分かりやすくアドバイスしてくれる。検査結果の数値を見ても分からないことが多いですが、正しく説明してくれるので安心できます」

「非常に心強い存在」‐医師や患者も信頼

左はすずらんクリニックの山崎副院長

左はすずらんクリニックの山崎副院長

 サービス付き高齢者賃貸住宅では、医師の往診に同行した。すずらんクリニック副院長の山崎恵一さん。薬の専門家である薬剤師に対しては、在宅医療というフィールドで職能を発揮してほしいと期待する一人だ。

 「私も薬効に関しては分かっているつもりですが、薬剤の『味』や『剤形』に詳しい薬剤師さんからの専門的なアドバイスは非常に心強い。平野さんは、処方箋ベースではなく患者さんベースで提案してくれるので助かります。一緒に仕事をして楽しいですね」。患者中心のチーム医療で、医師とのパートナーシップも築いている。

 平野さんが在宅医療の薬剤師としてやりがいを感じたエピソードがある。精神科を受診していた患者が泌尿器疾患を発症し、抗コリン薬やアドレナリンβ3作動薬を処方しても効果が見られない状況。神経性頻尿ではないかと思った平野さんは、抗うつ薬を主治医に提案し、薬剤を変えたところ、患者の症状は一気に良くなり、医師からも感謝された。「今までやってきたこと、学んだ知識が患者さんの役に立てたのが嬉しかったですね」と振り返る。

かばんには聴診器

かばんには聴診器

 平野さんのかばんには、血圧計と聴診器が入っている。「患者さんへのアプローチの一環という面と、何かあったときに自分でも使えるようにと思って。セミナー等で学びました。実践しながら今も勉強中です」。病気を抱える患者と向き合うために、自分にできることは何かを問い、努力を続けている。

 地域に根ざしたタカサでは、往診・配薬を中心に行う担当と、調剤や鑑査・電話応対などの店舗内担当が連携して、効率的で質の高い在宅医療を目指している。平野さんも「薬局スタッフ皆のおかげで、私は安心して最前線に行くことができるし、タカサの在宅医療が成立しています。みんなに感謝です」と周囲のサポートを忘れない。



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