2025年には、約5人に1人は75歳以上とされる超高齢社会において、わが国の医療の形も変わっていくと考えます。この超高齢社会を支える医療の一つとして、緩和医療・在宅医療があると思います。今回、将来このような社会を支えていく薬学生として、緩和医療・在宅医療という観点から何ができるのか、何をしていく必要があるのかを考えることを目的に、昨年9月、10月と2回にわたり都内で勉強会を行いました。
緩和医療、在宅医療を「知る」
第1回勉強会では、緩和医療・在宅医療に関心のある学生が集まり、最初になぜ緩和医療・在宅医療という領域に関心を持ったのか、それぞれが抱いている思いを共有しました。各々に熱い思いがあり、勉強会を行っていく上でのモチベーションづくりができました。
次に、各々が緩和医療・在宅医療という領域について知っていることや関心のあることを共有していきました。共有した時点で、分からない点や疑問点を挙げていきました。やはりこれからの緩和医療・在宅医療がどうあるべきなのかを考える上で、過去にそれらがどのような経緯で行われてきたのか、また現在はどのように行われているのかを学ぶことが必須であると考えました。
緩和医療、在宅医療を「探る」
第2回勉強会では各自、緩和医療・在宅医療に関する講演会に参加して得た知識や、文献等を調べて得た知識を共有しました。学生なりに調べた知識に基づいて、緩和医療・在宅医療において何ができるのか、できているのか、現在問題としてあげられそうなことは何かなど考え、意見交換を行いました。
それぞれ着目する点が異なっていたため、様々な側面から緩和医療・在宅医療について考えることができ、活発な話し合いを行うことができました。中には「在宅で患者さんをケアするためには、24時間対応可能な地域包括システムの充実が必要であり、マンパワー不足を改善するために薬局同士の連携も欠かせないのではないか」と学生なりに考えた、あるべき形を提案する意見もありました。
このように今回の勉強会の結果、緩和医療・在宅医療の現場において、「薬剤師の役割は何であるのか、何を期待されているのか」「なぜ今後緩和医療・在宅医療を行っていく必要があるのか」を調べた知識から学び、考えることはできましたが、やはり知識を共有する段階でそれが明確であるのか曖昧な点もありました。この勉強会で分からなかった点、疑問点等を正確な知識のもとに解消し、さらに考えを深め、将来私たちは緩和医療・在宅医療にどのように貢献できるのか考えるに至るには、実際に現場・現状を知る必要があると思いました。現場を知らない私たちは、学生なりに調べた知識に基づいての理想や予想を語ることが限界であると感じました。
学生の限界、現場の方へのメッセージ
このように私たちは将来、医療を行っていく上で何ができるのか、どうあるべきなのか学生なりに考える活動を行っています。しかし、実際に現場・現状を知らなければそれはただの学生の掲げる理想論です。現場に行き、現実を知った上で、私たちは将来どのように医療に貢献できるのか考えていきたいと思っています。
そこで、現場・現状を知ることができる機会があればと考えております。ぜひ見学やインタビューといった形で薬学生が現場を知る機会をいただけないでしょうか。また、今回の学生のみの勉強会には知識という面で限界があると痛感しました。学生がこのような勉強会を行っていく上でのご指摘、アドバイス等がありましたら、ご連絡いただけると幸いです。
今回の緩和医療・在宅医療についての勉強会に終わらず、様々な視点から医療を考える活動を行っていき、それが現場を知る機会へとつながり、さらに考えを深め、薬学生として今後の医療をよりよいものにしていくきっかけになればと思っています。
日本薬学生連盟薬学教育副委員長
北澤 裕矢
(問い合わせ:education@apsjapan.org 薬学教育委員会・飯塚まで)