米CRO大手のパレクセル・インターナショナルは、アルツハイマー病などを代表とする中枢神経系(CNS)疾患治療薬の開発支援に力を入れる。患者を対象とした第I相試験の実施基盤を背景に、脳への薬物送達性や薬剤作用性、臨床症状の改善効果、経時的な薬物動態測定など精密な解析も行えるのが強み。多くの日系製薬企業がCNS領域の開発に乗り出す一方、アルツハイマー病治療薬など後期開発段階で開発中止する例も多く、上市成功確率はわずか7%程度にとどまる。グローバルCROとしての専門性を発揮させたい考えだ。
CNS領域の医薬品開発をめぐっては、他の疾患領域に比べ、臨床診断や有効性の検証が難しいのが課題。うつ病や統合失調症などの精神疾患では、偽薬を飲んで何らかの改善を示す“プラセボ効果”の影響が大きく見られる。サイエンス部門バイスプレジデントのスタンフォード・ジー氏は、「通常の2~3倍の被験者を集積させないと正確な結果を出すのが難しい」と指摘。早期段階で開発コンセプトを決定することが成功確率向上につながると強調した。