【薬業界トピックス】変貌する教育・研修体制

2015年5月1日 (金)

薬学生新聞


文科省連絡会議、実務実習の指針まとまる‐施設評価する仕組みも導入

 文部科学省の「薬学実務実習に関する連絡会議」は、新たな「薬学教育モデル・コアカリキュラム」に則した実務実習を円滑に行うためのガイドラインをまとめた。新コアカリに明示されている「薬剤師として求められる基本的な資質」を習得するため、各大学が主体的に実習に関わり、実習を行う病院、薬局と連携することや、実習の枠組みを4期制に変更し、病院・薬局実習に連続性を持たせることなどを求めた。大学や指導薬剤師、実習施設を評価する仕組みも新たに導入する。

 指針では、実習の内容について、原則として病院では患者の薬物治療を経時的にモニタリングしながら学び、薬局では地域住民の薬物治療、在宅医療、セルフメディケーションの実践を学ぶことなどを盛り込んだ。実習期間は計22週間で各施設11週間を原則とするが、実習を調整機構において4期制で割り振ることを提案した。

 ただ、4期制になり、学生が習得すべき知識や技能が増えると、従来に比べ参加施設数が減ることを想定、実習施設数や受け入れ数を増やす取り組みを進めることも明記した。

 実習でどのような指導が行われているのかを把握し、教育の改善につなげていくというサイクルを循環させるため、大学は実施計画書や実務実習記録を定期的に精査し、実習の進捗や指導薬剤師、実習担当教員の指導の状況などの把握に努める。

 改善を要する事項があれば、改善策の申し入れや改善に向けた協議を行うほか、実習修了時には、薬学教育協議会が地域の関連団体とも連携し、大学と実習施設に対し実習に関する調査を行う。ただ、実施内容に明らかに不備がある場合は、各大学の責任者や施設の責任薬剤師に通達して改善を求める。

レジデント制度の認証基準‐薬剤師認証機構が素案示す

 薬剤師認定制度認証機構は、日本の薬剤師レジデントプログラムを中立な立場で評価する認証基準の素案をまとめた。薬剤師レジデント制度を運用している医療機関で一定水準の卒後臨床研修を行うため、プログラムの目的や理念、研修計画や指導体制等について、同機構が第三者として質を保証する。

 日本の薬剤師レジデント制度は、2002年に開始され、昨年には40施設まで拡大。レジデントプログラムのコースは、米国の制度を参考に、1年目は臨床活動全般を学び、2年目に専門能力を高めるコースが多く見られる。ただ、現状の研修プログラムは、各施設が独自に作っているため、統一性に欠け、質が保証されていない内容となっており、研修プログラムの標準化と質の保証が求められていた。

 基準案は、同機構が第三者の立場で考えた認証基準のあり方で、プログラム(制度)の目的と理念、研修計画(コースと期間等の研修概要、研修領域および領域別の研修期間等)、指導体制(プログラム責任者および指導薬剤師の要件等)、研修評価(評価時期、評価方法等)、管理運営体制を評価するとした。特に研修評価では、修了認定とその評価基準を項目に位置づけ、評価委員会を設置すること等を盛り込んだ。

厚労省検討部会、国試見直しに向け議論‐「禁忌肢」導入は反対出ず

 厚生労働省の医道審議会薬剤師分科会は、薬剤師国家試験制度改善検討部会の初会合を開き、6年制教育の導入に伴い10年1月に策定された「薬剤師国家試験のあり方に関する基本方針」の見直しに向けた議論を開始した。基本方針の見直しは、来年度の新入生から適用される薬学教育モデル・コアカリキュラムに則した国試を行うためのもので、およそ1年かけて議論し、取りまとめる。会合では、複数の委員から、薬剤師にしてはいけない学生を落とすことを目的に、受験者が一定数選んだら不合格とする禁忌肢の導入を検討するよう求める意見が相次いだが、反対意見は出なかった。

 会合では、厚労省が検討すべき事項として、▽試験科目の変更の必要性▽出題基準の見直し▽試験出題形式および回答形式▽試験問題数▽合格基準▽既出問題の取り扱い▽改定された基本方針の適用時期――を提示。委員からは、出題形式において課題となっている禁忌肢の導入について意見が集中した。

 禁忌肢は、患者の死につながったり、重篤な後遺症を残す可能性が高いなど、
薬剤師として行ってはならないような内容を含んだ問題で、受験者がある一定数選んだ場合、他の問題がいくら解けていても不合格にするというもの。

 前回の検討部会でも導入が検討されたが、薬剤師として禁忌とする対象の選定を慎重に行う必要があるなどの理由で、「引き続き慎重に検討する」とされた。

 山本信夫委員(日本薬剤師会会長)は、本来、薬剤師になる資質のない人が薬剤師として現場に出た場合の危険性を指摘し、「禁忌肢は入れるべき」と主張。政田幹夫委員(日本病院薬剤師会理事)も同調し、既に禁忌肢を導入している医師国試の状況を踏まえ、導入に向けた検討を行うべきとの考えを示した。

国試偏重教育からの脱却を‐文科省作業部会が報告書

 文部科学省の「薬学系人材養成のあり方に関する検討会」のもとに設置された「新制度の薬学部および大学院における研究・教育等の状況に関するフォローアップワーキンググループ(WG)」(主査:井上圭三帝京大学副学長)は、薬学教育に共通する課題や問題点を整理したフォローアップ状況をまとめた。「国家試験を目指して無事卒業させることに汲々として理念と乖離した教育」からの方向転換を求めると共に、各大学に対して教育の改善充実に向けた積極的な取り組みを促した。また、「入学者の質を下げてでも定員分の学生を確保する現状は大学の信頼を損なう」とし、改善を求めた。

 報告書では、「大学の人材養成の質低下は薬学教育全体の評価の低下、医療の質低下につながる恐れがある」と指摘。国試偏重の教育ではなく、「どのような薬剤師、薬学卒業生を育成しようとしているのか」について一貫したポリシーを持ち、「将来的に社会のニーズがどのように変遷していくのか見極めながら全体的戦略を考える必要がある」とした。

 大学教育の改善充実については、「まずは各大学が自主的、自律的に取り組む必要がある」とし、こうした取り組みが着実に実行されるよう、「関係団体の役割」にも期待を寄せた。その際には、「設置者側(経営組織)の役割も重要であることを認識すべき」と強調した。



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