【日本薬学生連盟(APS-Japan)】各種イベントを開催

2015年9月1日 (火)

薬学生新聞

リアルボイスから学ぶ!~障がい者と薬剤師の今~

 皆さんは「施設薬剤師」を知っていますか?これは、障がい者向けに医療を提供している病院や診療科で働く薬剤師を指します。障がい者の薬の調節には、個々の障がいの重さ・強さに応じて複数の薬剤を厳密に管理する能力が求められるため、薬剤師の存在が必要不可欠です。しかし、現在は深刻な施設薬剤師不足が課題となっています。そこで私は、多くの薬学生に施設薬剤師について知ってほしい、障がい者を対象にした医療について考えてほしいと思い、このイベントを企画しました。

互いに意見を交わす

互いに意見を交わす

 イベントでは、まず、現役で施設薬剤師として活躍されている、重症心身障害児総合医療療育センター薬剤科の海老原毅さんに「障がい児、または障がい者に関わる薬剤師の現状とこれから」をテーマに講演いただきました。次に、重症心身障がい者の特徴や家族の心理について参加者と共有しました。重症心身障がい者は、重度の知的障害により自分の意思を自分の言葉で伝えることが困難であり、重度の身体障害により介助なしで動くことが困難です。そのため薬剤師と患者とのコミュニケーションでは、家族などの第三者を挟むという特徴があります。最後に、ワークショップを通して「薬剤師が患者のために家族に対して何ができるのか」について考えてもらいました。

東京薬科大学3年 島田 翠

参加者感想

 大学の講義や5年生の実務実習でも障がい者について学ぶ機会はほとんどなく、考える機会もほとんどありませんでした。もちろん、小学校や中学校では多くの講演者をお招きし、障がい者についてお話しを聞く機会や命の大切さを学ぶ機会はありました。しかし、医療者という観点から考えたことはありませんでした。非常に難しい問題ではありますが、将来医療者となる上でこの問題に向き合っていくことは必要なことだと感じました。

 話し合いの場で、私のグループには、実際に聴覚に不自由を抱える学生がいました。その学生から実体験を聞く中で、親と子供の間でもコミュニケーションが困難であること。それによって周りとの関係を遮断し、思いつめてしまう親の現状を知りました。薬剤師は服薬指導などで患者やその家族と関わる機会は少なからずあると思います。私たちに障がい者に関する知識や経験があれば、より適切な身体的、精神的ケアを行い、患者やご家族の負担をよりいっそう軽減することができるようになると思います。結果的に、その溝を少しでも埋める手助けができるのではないかという考えが多く見受けられました。

 私は薬学部の最終学年ですが、いまだに知らないことが多くあると再認識しました。今できることを着実にこなしていきながら、広い視野で物事を見ていきたいと改めて感じました。

帝京大学6年 滝本 大輔

講師を囲んで

講師を囲んで

本当にあった感謝の話

イベント参加の皆さん

イベント参加の皆さん

 皆さんは東日本大震災の際に、どこの国が日本に支援をしてくれたかをご存知ですか?台湾やアメリカは報道されていたので有名です。しかし、実際には191カ国もの国々が支援の申し込みやお見舞いの言葉をくださいました。このイベントは、そうした東日本大震災をきっかけに、これまで日本がどこの国にどの様に支えられてきたのかをお伝えすることを目的として立ち上がりました。

 私は、高校生の時に、30カ国の人と暮らした経験を通して、気付いたことがあります。それは、言葉にすると当たり前に感じてしまいますが、「どの国の人であろうと、感謝をされると誰もが嬉しい気持ちになる」ということです。この発見から、世界中の人が、積極的に支援していただいたことを認識し、感謝の輪でつながることで、世界中の国々の関係が今より良くなるのではと考えました。そこで、まずは日本人、日本が何をしてもらったのか知っていただこうと、この講演を引き受けさせていただきました。

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 今回は、多くの後輩に手伝ってもらい、各国々に関する基本的なことや日本が支援している内容をお伝えし、その後に私が大使館を回り外交官に、具体的にどのような支援を日本が受けたのかについてインタビューをした内容を、画像や動画を交えながらお伝えしました。

 各国々を身近に感じながらも、国家間の感謝のバトンがどのように受け渡されてきたのか、その背景にある想いまで感じ取っていただけたらなという思いで講演しました。

 当日、拙い講演にもかかわらず、足を運んでくださった皆様、本当に感謝します。また、講演をするに当たってご尽力いただいた皆様も、厚く御礼を申し上げます。講演を行って、どのくらいの人に感動を届けられるのか、本当に感謝のきっかけというものを届けられるのか不安でした。感謝を強制するのではなく、ただ多くの国々の話を知る機会を提供できればと考えていたので、多くの反響をいただき大変嬉しく思いました。

グループごとに討論

グループごとに討論

 また、プログラム当日の午後のグループディスカッションをきっかけに、自ら「講演内容を動画にして、You Tubeに載せたい!」と活動を始めてくれた方や、「スリランカの友達にお礼を伝えました!」と感謝の気持ちを実際に伝えてくださった方を多くお見受けしました。

 イベントの影響が当日で終わらなかったこと、感謝の気持ちをもって、その想いを海外に発信したい!と考え、行動に移してくださった方々がいたことは、本当に私の励みになりました。大使館の方々へのお礼の手紙は現在作成中ですが、必ず想いを伝えたいと思います。冬ころには、出版社から本も発売されると思いますので、その際は、改めて紹介させていただきます。本当にありがとうございました。

慶應義塾大学6年 會田 有璃



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