第101回薬剤師国家試験直前‐国試合格基準の改正点&今年度のトピックス(国試の傾向を読む)!

2016年1月1日 (金)

薬学生新聞


 2015年9月30日厚生労働省医薬食品局(現医薬・生活衛生局)からの「新薬剤師国家試験についての一部改正」で通知された薬剤師国家試験(以下、国試)の合格基準改正には、学生をはじめ多くの方が驚かれたことと思います。今回の改正は、16年2月27日、28日に実施される第101回国試から適用されることとなります。学校法人医学アカデミー薬学ゼミナール(以下、薬ゼミ)でも学生から、「合格しやすくなったってこと?」「勉強の方法を変えた方がいいの?」と多くの質問を受けました。そこで、合格基準の改正をしっかり把握していただき、改正に対しての勉強方法を考えてみたいと思います。

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合格基準改正について

 大きく改正された点は、総得点に対する評価が絶対評価から相対評価に変わったこと、いわゆる足切りが薬学理論問題で廃止、必須問題で各科目30%以上に引き下げられたことの2点です。(改正前の基準:表1、改訂後の基準:表2参照)

1.第101回国試からの合格基準(改正部分のみ抜粋)

表1表2

 以下のすべてを満たすことを合格基準とすること。

[1]問題の難易を補正して得た総得点について、平均点と標準偏差を用いた相対基準により設定した得点以上であること。

[2]必須問題について、全問題への配点の70%以上で、かつ、構成する各科目の得点がそれぞれ配点の30%以上であること。

2.試験時間

表3

 試験時間は表3に示すように改正前後で変更はありません。試験時間を問題数で割ると、「必須問題」は1問につき1分、「一般問題」は1問につき2.5分で解く時間配分となります。

 国試本番、受験生は皆さん緊張しています。特に最初の必須問題では1問に対する時間配分も短いため、マークミスをしないようしっかり確認しながら進めましょう。

 また、一般問題(特に薬学理論問題)では難易度の高い問題や時間のかかる計算問題、実験内容を読み解く問題などが出題されます。

 順番通り問題を解いていて、1問に対して時間をかけ過ぎ、後半の得意範囲に時間をかけられなかったという話は受験後の学生から良く上がってくる感想です。

 解ける問題を先に解いておくのも国試の受験テクニックの1つです。時間配分を考えながら問題を解き、かつマークミスには十分注意してください。

改正に対しての勉強方法

 先に述べたように年度の途中の改正によって不安に感じている学生が多くいらっしゃいます。しかし、今までの勉強の仕方が今回の改正によってマイナスになることはないと考えて下さい。

足切りの基準が変わったから苦手科目は捨てていいの?

 確かに薬学理論問題に対する条件はなくなりましたが、必須問題では条件が設定されています。苦手科目の中でも基礎となる部分はしっかり勉強しましょう。基礎ができていなければ応用問題を解くことや他科目へ繋げる横断的な思考はできません。苦手科目を最後に確認する時は、特に既出問題で多く出題されていた範囲を中心に再確認できるようにしましょう。

相対基準になったら一緒に受験する友達はライバルになるの?

 今回の改正により相対基準が設けられましたが、改正内容を更に詳しく読み解くと、「当面の間、全問題への配点の65%以上であり、かつ、1-[2]の基準を満たしている受験生は少なくとも合格となるよう合格基準を設定する」とされています。新しい足切り条件に掛からず、総得点の65%を得点できていれば薬剤師になれる訳ですから、安心してください。

 友達と問題を出し合って苦手範囲をフォローしながら勉強すれば、勉強効率もアップします。不安を払拭して勉強に集中し、薬剤師になった時に、一緒に勉強した仲間と情報交換しながら薬学を盛り上げて欲しいと思います。

国試の傾向を読む

 今回は衛生、薬理、法規の3科目について、過去の国試の傾向から読み取れる第101回国試で押さえるべき内容をお伝えします。国試の勉強に役立てて下さい。

衛生

機能性表示食品とは

図

 機能性を表示することができる食品は、これまで国が個別に許可した特定保健用食品(トクホ)と国の規格基準に適合した栄養機能食品に限られていましたが、機能性を分かりやすく表示した商品の選択肢を増やし、消費者が正しい情報を得て商品を選択できるよう、15年(平成27年)4月に、新しく「機能性表示食品」制度がはじまりました。

 事業者の責任において科学的根拠に基づいた機能性を表示できる食品であり、安全性及び機能性の根拠に関する情報などを販売前に消費者庁長官へ届け出れば個別の許可を受ける必要はありません。この点が基本的には個別に許可をうける特定保健用食品との大きな違いです。

既出問題

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 15年12月現在、既に約150品目の機能性表示食品が販売されています。健康の維持・増進を考えられている患者さんに、特定保健用食品との違いを説明できるよう正しい知識をもっておきましょう。

機能性表示食品のポイント

・疾病に罹患していない方を対象にした食品です。
・生鮮食品を含め、原則すべての食品が対象です。
・安全性及び機能性の根拠に関する情報、健康被害の情報収集体制など必要な事項が、商品の販売前に、事業者より消費者庁長官に届け出られます。
・特定保健用食品とは異なり、国が安全性と機能性の審査を行っていません。

ワクチンの現状

 わが国は他の先進諸国と比べて公的に接種するワクチンの種類が少ない、いわゆるワクチン・ギャップが存在していたため、近年は解決のために予防接種法が頻繁に改正されています。医療現場においては「改正されたなんて知らなかった!」では業務に支障を来すため、第99回既出問題のように法改正から1年以内でも出題されます。確実に、定期接種の対象となるA類疾病とB類疾病は覚えておきましょう。

<A類疾病(主に集団予防・重篤な疾患の予防に重点・本人に努力義務あり)>

 Hib感染症、肺炎球菌感染症(小児に限る)、ジフテリア、百日せき、破傷風、ポリオ、結核、麻しん、風しん、水痘、日本脳炎、ヒトパピローマウイルス感染症

<B類疾病(主に個人予防に重点・努力義務なし)>

 インフルエンザ(高齢者に限る)、肺炎球菌感染症(高齢者に限る)

既出問題

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ワクチンのポイント

・14年(平成26年)10月から、A類疾病に水痘が、B類疾病に肺炎球菌感染症(高齢者に限る)が追加されました。第101回の国試対策として覚えておきましょう。

薬理

出題範囲について

 薬理学は、例年、必須、理論、実践問題と、出題基準に沿って万遍なく出題されています。したがって、ある程度範囲ごとの出題数などを想定しながら問題を解くことが可能です。また、範囲の棲み分けも他の科目よりも分かりやすいです。

 例えば、1日目午前、必須問題で循環器系の抗不整脈薬が問われた場合、その同日の午後、理論問題では抗不整脈薬「以外」の心不全・虚血性心疾患、高血圧治療薬が問われる可能性が高いと考えられます。ただし、必須・理論問題と実践問題における範囲の重複は、優先順位の高い範囲であれば見られますので、注意が必要です。

新傾向薬物について

 薬理学の担当講師として、大学で講義をした際に、学生からよく「今年の新薬は何が問われますか?」と質問を受けますが、私はそれらを新薬とはあえて呼ばず「新傾向薬物・未出題薬物」と呼ぶようにしています。なぜなら、厳密な意味での新薬(新しく発売されたばかりの薬物)が国試に出題されることは、ほぼ皆無であると考えるからです。

 発売されてから一定期間経ち、ある程度医療現場で使用されてきて初めて試験問題として取り上げられます。また、既に発売され医療現場で長年多用されているにもかかわらず出題されていない薬物は、いまだにかなりの数存在します。それら「新傾向薬物・未出題薬物」について、日本国内において売上高の高い薬物を中心に少しずつ問われる傾向が見られます。

 また、『薬物名』は出題されていないが、作用機序などの「キーワード」の一部を出題する傾向があるため、2~3年前の既出問題(98~100回)で該当するものについては、今後の国試への『前振り』と捉えて対応が必要かもしれません。

 迷っている方々はぜひ、日本国内の【医薬品売上ランキング】上位の薬物を確認してみましょう!次の出題が見えてきますよ。

直近の国家試験からの出題予想

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 提示した問題は、98回と100回の催眠薬関連の問題です。98回国試の選択肢3で『H1受容体遮断→睡眠導入』について問い、2年後に100回国試の選択肢3で同様な記載が問われています。

 通常、催眠薬としてはバルビツール酸系薬とベンゾジアゼピン系薬の機序を問う問題が主流ですが、ここでは中枢内のH1受容体遮断に伴う中枢抑制作用について問われています。しかも、本来は抗アレルギー薬の範囲で問われるジフェンヒドラミンの中枢抑制作用を問う問題でした。

 最近の国家試験で『一般用医薬品』関連の出題が増えてきていることから、次は、ジフェンヒドラミンを主成分とする睡眠改善剤に関する問題が出てくるかもしれません。

法規・制度・倫理

 近年掲げられている「日本再興戦略」の中で、国民の健康寿命の延伸に向けて、セルフメディケーションが注目されています。その中でも重要な役割を果たす医薬品が、一般用医薬品や要指導医薬品です。

 第97回~第99回の国試においても、一般用医薬品に関する出題がありました。この流れから、要指導医薬品も出題される可能性が高いため、第101回国試に向けて要指導医薬品と一般用医薬品(とくに第一類医薬品)の規制を区別しておきましょう。

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学校法人医学アカデミー薬学ゼミナール

お詫びと訂正

 記事初出時、「直近の国家試験からの出題予想」(100回-問155)の解答が3、5とあったのは3、4の誤りでした。お詫びして訂正いたします。(訂正済み)



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