【薬剤師になる前に~今だからOTC医薬品を学んでおきましょう!】第6回 未来のOTC“こんなOTC医薬品があったら~?”

2016年1月1日 (金)

薬学生新聞


(株)スギ薬局、日本薬剤師会一般用医薬品等委員会委員
藤田 知子

軽医療のカギ握る要指導医薬品

藤田知子氏

 あけましておめでとうございます。この連載も1年を経て、今回で、第6回を迎えました。

 これまでOTC薬を取り巻く環境や、国民から求められていることなど総論的なお話をして、いささか押し売り的にOTC薬を学ぶ意味を説明してまいりました。今年は、セルフメディケーションの重要性がさらに増していく年となりそうです。

 昨年10月23日に厚生労働省は、「患者のための薬局ビジョン」()を発表しました。患者本位の医薬分業の実現に向けて、服薬情報の一元的・継続的把握とそれに基づく薬学的管理・指導、24時間対応・在宅対応、医療機関等との連携など、かかりつけ薬剤師・薬局の今後の姿を明らかにしています。

 さらに、「健康サポート機能」をプラスして、真の「かかりつけ薬局」への再編の道筋を示しています。その「健康サポート機能」とは、“病気の予防や健康サポートに貢献する”ものであり、セルフメディケーションを推進し、薬局店頭での健康相談、薬剤師による臨床判断をもって軽医療に対するOTC薬の適正販売、受診勧奨など生活者の健康支援をするものです。OTC薬を知っておかなければならない必要性は、このビジョンにしっかりと明記されています。

 さらに詳しく見ると、「健康サポート機能」には“要指導医薬品等を適切に提供できるような供給機能や助言の体制”とされています。

 現在、要指導医薬品は数種類しかなく、生活者にとっては他のOTC薬とどう違うのか区別がつかないようですが、「プレフェミン」(生理前の不定愁訴を改善する要指導医薬品)や「アンチスタックス」(足のむくみを改善する要指導医薬品)そして昨年10月に発売した「エフコート」(虫歯予防の要指導医薬品)など、これらの商品は、薬剤師が薬局で販売する商品であるという認知が徐々に浸透してきました。

 今後、この要指導医薬品の存在こそが、薬剤師の軽医療への介入に欠かせないものとなり「健康サポート機能」を充実させるものと考えています。

 要指導医薬品には、医療用医薬品からスイッチした「アレグラ」「アレジオン」(現在は第1類医薬品)、「エフコート」などと、「アンチスタックス」「プレフェミン」などのスイッチではなくダイレクトに医薬品になったものとがあります。

 これらの医薬品の効能効果の特徴は、「生活に密着している身近な症状、疾患」で、多くの人が対象となります。さらに、頓服ではなく、ある程度の服用期間でもって治癒するものであり、経過観察も必要です。つまり、期待される効果が得られたかどうかだけでなく、服用期間中の副作用などにも注意して観察するなど薬剤師の臨床判断や確認が必要になります。

 今後、さらに要指導医薬品が増えていき、対応しうる症状や疾患が拡大すると、多くの軽医療が十分にまかなえるようになります。これが、厚労省が打ち立てた「患者のための薬局ビジョン」そして、「健康サポート機能」なのです。

 多くの軽医療が薬局で賄えるようになるためには、どんな“要指導医薬品”“スイッチOTC”が薬局にあるといいのでしょうか?

 現在、膣カンジダの再発治療薬が第1類医薬品として販売されていますが、ずいぶん昔は、トリコモナス治療薬も薬局で販売されていました。このような疾患は、症状が出たら速やかに治療し、重症化を防ぎ、感染を防ぎたい疾患です。

 しかしながら、デリケートな部分なだけに病院に行きづらく、そのうち治るだろうと放置してしまいがちですが、薬局対応で治療していきたい疾患だと思います。今こそ、これらの医薬品を復活させ(あるいはスイッチ化して)、薬局できちんと対応できたらいいと思います。

 ほかには、効能効果を限定した「抗生物質」の内服薬、血糖測定を義務付けての「血糖降下剤」、生活習慣の改善を指導しながらの「降圧剤」など……。生活者の日常を考えると“あったらいいな”と思うスイッチ医薬品はたくさんあります。

 また、季節性の疾患、例えば風邪や花粉症などは、保険医療費の削減の意味でも、より多岐にわたるかぜ症候群の治療薬や花粉症などのアレルギー治療薬がスイッチされるのを期待しています。

 ダイレクトOTC薬に関しては、テクノストレス社会に応じた癒し系のもの、精神安定剤、睡眠導入剤の効能を持つハーブ系医薬品があるといいのではないかと思います。

 OTC薬のいいところは、医療用医薬品ほどに研究開発等に時間とお金が掛からないことです。時代に応じて必要な医薬品がタイミングよく、生活者の手に渡ることが可能なのです。

 薬局での相談内容の多いものを製薬企業へ伝え、生活者の声が反映されたOTC薬、まさに“あったらいいな”のOTC薬が揃えば、薬局の利用頻度も格段に上がると思います。

 「患者のための薬局ビジョン」推進元年の今年、少しずつではなく、ダイナミックに改革されていくと思います。そのため、地域に「健康サポート」できるよう、今年もOTC薬についてさらに深堀して情報を提供していきたいと思います。



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