医師の“悩み”に応えられるMRに‐アステラス製薬 大辻みなみさん

2016年3月1日 (火)

薬学生新聞

大学病院担当として活躍

大辻みなみさん

 アステラス製薬の医薬品情報担当者(MR)として活躍している大辻みなみさんは、朝7時半には自身の担当施設である順天堂大学医学部附属順天堂医院に到着し、医師が外来の診察室や医局に来るのを待つ。他社MRが何人も待機している中で「一歩先に、前に出て、医師に話しかけられるかどうか。わずか1分が勝負」と大辻さんは強調する。医師との信頼関係は厚く、事前にアポイントを取らなくても医師と面会はできるが、忙しい医師と話せる時間はせいぜい3分程度。薬剤に関する伝えるべきメッセージと医師からの情報取得を短時間に凝縮できるかがMRの腕の見せどころとなる。

 大辻さんは、実家が診療所で父親が医師、母親が薬剤師の医療従事者の一家に生まれ、幼い頃から「医療」が身近にあったのだという。母親が調剤しているところを見ているうちに、薬によって病気が治ることに幼心から興味を持ち始め、自然と薬学の道を志すようになった。

 薬学部6年制の第1期生として金城学院大学薬学部に入学。就職活動中に薬剤師かMRで進路を迷っていたが、医師や薬剤師が必要とする情報を提供し、積極的に提案できるMRの仕事が自分に合っていると思い、MRへの道を決断。大辻さんは、「自分とドクターとの関わりが直接仕事になることにやりがいを感じられると思った」と話す。

 2012年にアステラス製薬に入社してから半年の研修を経て、順天堂大学を約3年半担当している。MRとして重要なのは、医師からの信頼を得ること。入社したての頃は、病院に行っても何をしていいのか分からず、医師も簡単には心を開かない状況で「私は何の仕事をしに来たのだろう」と思い悩むこともあった。同じチームの先輩や時には他社のMRにも相談をしながら、日々の業務に取り組むことで、少しずつ乗り越えていった。

 医師が日常の診療の中で何に困っていて、MRに対してどのような情報を求めているのか。“医療従事者視点”を大事に情報提供することで、医師も徐
々に話を聞いてくれるようになった。

 地道な活動が実を結び、「大辻さんの提案のおかげで患者が良くなりました」と医師から感謝されることも。「すごく幸せで涙が出るほどうれしかった」。その経験がMRとして成長するパワーにつながっている。

 1回の面会で医師と話せるのはたったの3分間。大辻さんは「寒くなりましたね」という会話から入っていき、血圧や血糖値の話をして、自分が扱う薬剤の話につなげるといった流れを事前に頭の中で構想し、医師が診療する患者1人ひとりの症例や医師自身が抱えている課題を聞き出す。

 そのため「疾患に関する最新の知識を持っていないと、ディスカッションも提案もできない」と話す。事前の準備が大切だ。医師の良きパートナーとして、MRに求められるハードルは高いが、高度な要求にも応えられるよう、「研修でいろいろと勉強するが、それでも全然足りなくて、日々勉強だと思う」とさらなる高みを目指している。

 MRという職業は、医療の最先端を学ぶことができ、キーオピニオンリーダー(KOL)と呼ばれる特定の疾患領域に影響力を持つ医師や専門家とも話す機会もある。大辻さんは「真摯にドクターと向き合い、さらにドクター越しにいる1人の患者さんの未来とも向き合える誠実な人こそ、MRになってほしい」と学生たちにメッセージを送る。



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