奨学金返済、卒後の不安材料に‐状況把握し、柔軟なキャリア形成を

2017年7月1日 (土)

薬学生新聞


奨学金アドバイザー久米氏が解説

久米忠史氏

 奨学金の返済は、薬学生にとって卒後の不安材料の一つだろう。毎月どれくらいの金額を、いつまで返済し続ける必要があるのか。滞納するとどうなるのか。状況を正確に把握し正面から向き合うことで、過度な不安に陥ることなく、柔軟なキャリア形成を考えられる。このほど大阪市で開かれたユニヴの「薬剤師・薬学生のための奨学金サポート企業就職説明会」には、奨学金アドバイザーとして全国で活躍する久米忠史氏(まなびシード代表取締役)が登場。滞納時のリスクや奨学金返済の道筋を薬学生に解説した。

 学費の高騰を背景に、いまや大学生の2人に1人が奨学金を利用する時代になった。特に、私立薬系大学の学費は高く、6年間で1000万円を超える。「保護者の収入だけで進学させるのは困難。奨学金が必要不可欠になっている」と久米氏は語った。

 日本学生支援機構の奨学金が最も利用されている。中でも、有利子の貸与型奨学金を借りている学生が多い。例えば有利子の第二種奨学金を月額10万円、6年間借りた場合、卒後20年間毎月3万円以上を返済し続ける必要がある。

 返済を滞納するとどうなるのか。同機構の奨学金は金融事業に位置付けられているため、滞納するとペナルティーとして5%の延滞金が課され、翌月の返済額と合わせた一括返済が求められる。督促を無視し滞納が3カ月間続くと、その情報が個人信用情報機関に登録される。

 こうしてブラックリストに載ってしまうと返済完了後5年が経つまでその情報は消えない。その間、クレジットカードが使えなかったり、住宅ローンを組めなかったりするなど不利益を被ることもある。滞納4カ月後には、債権回収会社に回収が委託される。滞納9カ月以降は裁判所を通じて法的措置がとられ、給料などを差し押さえられる可能性がある。「奨学金の返済からは逃れられない」と久米氏は釘を刺した。

 返済できずに自己破産すると、人的保証を選択した場合には連帯保証人が返済義務を負う。連帯保証人は親が務めることが多い。退職後に多額の債務を負うと、親も自己破産に追い込まれる場合がある。そうすると次は、親戚などが務める保証人に返済義務が及び、自己破産が連鎖する可能性がある。

 返済困難者に対して、毎月の返済額を減らして返済期間を延ばしたり、返済を保留したりするなど猶予措置は設けられているが、年収300万円以下の場合にしかこの措置は認められない。薬学部の学費は高く、年限も長いため返済の負担が大きいのに「このようなセーフティーネットからこぼれおちている」と久米氏は問題点を指摘した。

 多くの大学生は、毎月の返済額や返済年数を知らない。「奨学金の上限利率は3%に決められている。この数字を実際の利率だと勘違いする学生がいるが、そうではない」と久米氏。今年3月に第二種奨学金が貸与終了となった人の場合、その利率は固定方式で0.33%、変動型の利率見直し方式で0.01%と低い。実際の利率を認識し、返済計画を考える必要があるという。

 固定型と変動型、どちらの金利を選択するのかは悩みどころだが、貸与終了年度の一定期間内の変更は可能だ。「終了年度の夏休み明けくらいにそれぞれの利率を確認し、いつまでだったら変更できるのかも大学に確認して、どちらがいいのかを判断してほしい」と久米氏は話した。

 奨学金は繰り上げ返済できる。手数料は無料だ。繰り上げ返済によって返済期間は短くなり、利息も節約できる。「奨学金の利率は低い。収入の全てを繰り上げ返済に充てるのではなく、貯金も増やしながら、年に1回まとまった金額を繰り上げ返済することをお勧めしたい」と久米氏。「まずは待遇のいい職場に勤めて、奨学金を早期に返済しながら上手にキャリアアップしてほしい」と呼びかけた。



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