【日本薬学生連盟】意識調査‐「薬学部新設」「敷地内薬局」どう思う?

2017年9月1日 (金)

薬学生新聞


 薬学部新設ラッシュと6年制への移行という大きな変化からおよそ10年が経過した今、薬学部を取り巻く環境はどうなっているのか、それについて薬学生はどう考えているのでしょうか。日本薬学生連盟では、今年春の新歓で「薬学部新設」と「敷地内薬局」について意識調査を行いました。

薬学部新設

賛成:偏在や県外進学に不満
反対:薬剤師過剰供給を懸念

 来年4月、山口県に薬学部が新設されます。新設される山口県、凍結を決定した長野県以外にも和歌山県や沖縄県で動きが見られます。このように最近になり、再び薬学部新設への動きが加速し始めています。薬学部新設については「現時点で定員が過剰である」「地方の薬剤師確保につながる」など賛否両論ありますが、当事者である薬学生はどう考えているのでしょうか。

 意識調査の結果、賛成が35%、反対が40%、わからないと答えた人が25%となりました。以下にコメントを抜粋します。

 「私は沖縄県出身で地元に薬学部がないため、東京の大学に進学しました。しかし、地元では薬剤師が不足していること、また金銭的負担も考えると、薬学部を設置することで問題は解消できるのではないかと思いました」(賛成・学部2年)、「薬剤師が飽和しているという話を聞いたことがあるので増やすのは問題があると思う」(反対・学部2年)

 賛成派の意見としては、地域による偏りに対する懸念、県外進学が前提であることへの不満がある一方で、新設による薬剤師の過剰供給を懸念する声も少なくありませんでした。反対派の意見としては、過剰供給に対する懸念のほかに、人口が日本より多い中国など諸外国と比較して薬学部の数が多いことを理由に挙げている意見も目立ちました。

 現状として、薬学部の数は確実に多く定員割れを起こしている大学も少なくありません。新設ラッシュに伴う入学者の学力低下により、入学偏差値だけでなく国家試験の合格率が大きく低下した大学も各地に存在します。一方で、地域差が著しいことも事実です。2016年度の全国の薬学科定員は1万1445人です。このうち、東京・千葉・神奈川・埼玉の4都県だけで合計4233人にもなります。4都県合わせた人口は日本の28%。これに対して薬学科定員の37%が存在することになります。4都県を除いた関東地方の3県にはわずか2%の270人しか定員が存在しないことからも、都道府県間の地域差が大きいことが分かります。

敷地内薬局

賛成:患者の利便性最優先に
反対:かかりつけ制度に逆行

 次に、敷地内薬局についてです。敷地内薬局とは、薬局を病院の敷地内に設置することであり、院内処方とは異なります。薬局の構造規制の見直しによって昨年、設置が認められるようになりました。しかしながら「医薬分業の否定につながる」「患者さんの利便性が向上する」など、こちらも意見が分かれています。

 敷地内薬局の認可に賛成と回答した薬学生は52%、反対は13%。分からないとの回答が32%となり、賛成が過半数を上回りました。こちらもいくつかコメントを抜粋します。

 「医薬分業の理念に反するとはいえ、薬局を含む医療機関・施設は患者のことを第一に考える必要があると思うので、患者の利便性を考えた結果、敷地内薬局の解禁は賛成です」(賛成・学部1年)、「敷地内に開設すると、他の病院に行った後の場合に入りにくくなって、かかりつけ薬局としての役割を果たしにくくなると思う」(反対・学部1年)

 賛成派で顕著だったのが、医療は患者さんの利便性を最優先にするべきという意見です。従来、病院と薬局は公道を挟むのが望ましいとされてきました。また、大きな病院がある地域では病院の前にあったテナントが消えてほとんど薬局になってしまったという光景を目にすることもあり、敷地内薬局は薬局の数を是正することにもつながりそうです。

 反対派で顕著だったのが、かかりつけ薬局制度に逆行するという意見です。かかりつけ薬局は、複数の病院・診療所に受診していた場合でもかかりつけの薬局を選び、薬歴管理や相談、服薬指導をしやすいようにするものです。患者さんにとっては毎回のように診療所や病院近くの薬局へ行くよりも、かかりつけの薬剤師を持つほうが顔なじみにもなり、相談しやすい環境が構築されるのではと思います。

そもそも…敷地内薬局って知ってる?

 ところで、薬学生はそもそも敷地内薬局の存在を知っているのでしょうか。敷地内薬局について「知っていた」と回答した薬学生は34%にとどまりました。学年別では1.2年生で19%、3.4年生で65%となりました。結果より、低学年での認知度の低さがかなり目立ちます。また、高学年の65%という数字も決して高いものではないと思います。

 今まで興味がなかったり、ニュースを見てないから知らないという人も多いでしょうが、それでも近い将来に自分たちが直面する医療を取り巻く状況の変化は早いのです。今後も、薬剤師をはじめ医療関係の話題はもちろん、医療関係以外の時事問題にも目を向けてアンテナを張っていこうと思いました。

明治薬科大学1年 岩崎良太



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