田辺三菱製薬の三津家正之社長は1日に会見し、「米国展開製品として、企業買収により自己免疫疾患領域の核酸医薬品『STNM01』(炎症性大腸炎等治療薬)をパイプラインに加え、2021年度以降の米国事業拡大を目指す」との考えを示した。また、米ヤンセン・ファーマシューティカルズからのSGLT2阻害薬「インヴォカナ」のロイヤリティ収入が前年同期に比べ、18億円少ない72億円となった要因については、「同剤の売上高がCANVAS試験結果とリンクしているかどうかは定かではない」と明言。その上で、「同試験結果から得られたCV(心血管イベント)リスク低減や腎機能の改善、潰瘍等が発生する患者に投与すると下肢切断リスクが高まるといった三つの項目について、ヤンセンが今後どのように使っていくかがポイントになる」と指摘した。
米国事業展開については、中枢神経系(CNS)と自己免疫疾患の二つの領域を戦略領域に、20年度売上高800億円を掲げており、CNS領域では8月に米国第1号製品となるALSS治療薬「ラジカヴァ」を発売。10月には、イスラエルのニューロダーム買収により、パーキンソン病治療薬「ND0612」をはじめとするパイプラインを獲得。さらに自己免疫疾患領域では、今月1日にステリック再生医科学研究所を買収し、同社が開発中の炎症性大腸炎およびクローン病を適応症とした「STNM01」をパイプラインに加えることになった。