キャリア・ポジション社長
西鶴 智香
今回のテーマは「就職」です。5月になり、そろそろ6年生は就職先を決めようとしている頃でしょうか。5年生は大学のキャリアガイダンスを受け「就職先はできるだけ早く決めて国家試験対策に集中したい」と情報収集を開始している頃ではないでしょうか。
多くの薬学部は6年制になり、臨床薬剤師を育成する大学に変わりました。以前に比べ病院に就職する割合は高くなったのですが、ここ最近は様子が変わり、最多の就職先は「薬局・ドラッグストア」となっています。病院への就職を考えたとしても、採用数には限りがあり希望者全員が就職できないことや、当直に躊躇したり、チーム医療で働く覚悟を持てなかったりして志望を変更する学生がいるのが実際です。その一方、薬局・ドラッグストアの採用意欲は引き続き旺盛で、結果的にそこへの就職を決定する学生が多いのです。
そんな風に自分自身の棚卸をして、たくさんの会社説明会にも参加して自分に合った業界や組織を探した上で就職先を決めるのですが、残念ながら短い期間で退職を決意したり、数年で転職したりする方が少なくないのも現状です。そうした方々はだいたい「入社してみて初めて気づいた、分かったことがあった」と話します。
それはどんなことか、いくつか挙げてみます。[1]説明会で聞いた話では社員の志が高いようだったが、そのような社員はほとんどいなかった[2]入社した途端、買収され会社名が変わった[3]実は業績が悪化しており、賞与が予定通り支給されないなど待遇面が変化していた[4]想像していたより長時間労働でキツかった[5]店舗異動だらけで安定した生活ができそうにない――などです。
これは一概に会社だけが悪いのではなく、学生の企業研究が浅いせいもあると思います。会社説明会や店舗見学会で会社の本当の姿を「見る眼」をもっと養う必要があります。ではその眼はどうやって身につけられるのか。次回はそれをアドバイスします。