ニュースダイジェスト

2018年5月1日 (火)

薬学生新聞

医薬分業に限界論?‐薬機法見直し議論始まる

 医薬品医療機器法の見直しに向けた検討の議論が始まった。今年中に▽革新的な医薬品・医療機器などへの迅速なアクセス確保・安全対策の充実▽医薬品・医療機器などの適切な製造・流通・販売を確保する仕組みの充実▽薬局・薬剤師のあり方・医薬品の安全な入手――の三つの論点で検討を進め、意見を取りまとめるスケジュールを確認したが、薬局・薬剤師のあり方をめぐって日本医師会や患者代表の委員から「医薬分業は限界に来ているのではないか」「医薬分業はかなり瀬戸際に来ている」との意見が相次ぎ、議論が逆戻りした格好。院内処方への回帰を求める意見も出るなど、議論は拡散気味の状況である。

 4月に開かれた厚生労働省の審議会では、2014年11月に施行された薬機法が施行後5年をメドに改正後の規定を検討し、必要な見直し等の措置を講じることとされており、ちょうど見直しに向けた議論のタイミングに当たる。論点の一つである「薬局・薬剤師のあり方」については、▽より国民・患者が利益を享受できるような医薬分業、かかりつけ薬剤師・薬局の推進▽国家戦略特区の実証を踏まえた遠隔服薬指導などICT技術の活用を含めた方策――を検討することになった。

 ところが、初回の会議でいきなり日本医師会の委員が「患者が医薬分業の利益を実感できていない」とし、「医薬分業は限界に来ているのではないか」と指摘。「院内に回帰する動きがあって良い」「医薬分業は弊害の方が目立ってきているという論点を加えるべき」などと矢継ぎ早に露骨な主張を押し出した。

 これに対し、日本薬剤師会の委員は医薬分業の最大のメリットについて、薬剤師の指導やチェックによる薬物療法の安全確保であることを反論。複数の診療科を受診しても薬剤師が一元管理することによって、安心して薬物療法が受けられることや、ポリファーマシー解消、後発品の使用促進などを通して医療費適正化に貢献していることを列挙したが、患者代表の委員からは「それはかかりつけ薬剤師がうまく機能した場合のこと」と一蹴され、「そうした機能を果たせていない薬局があることが問題」と苦言を呈された。その上で、「医薬分業はかなり瀬戸際に来ている」との認識まで披露されてしまった。

 初回から、“医薬分業論”という脱線気味の議論が始まったが、今後の展開次第では薬局・薬剤師のあり方に大きな影響を及ぼすことが予想されるだけに議論の行方には注目だ。

【星薬科大/木村情報技術】薬学生の就活、AIが支援‐適職分析に活用、就職先紹介

 人工知能(AI)を活用して就職活動する時代になる?――。星薬科大学と医薬品業界向けのAIサービスを提供する木村情報技術は、AIを使って薬学生の学生生活や就職活動を総合的に支援するポータルサイト「アイキャンパス」を9月から本格提供を始めると発表した。AIが学生からの問い合わせに回答。個々の学生の学修結果や学生生活での経験などを統合的に管理し、性向分析や適職分析に活用したり、適職分析から学生の就職先に適した企業を探し出し、紹介も行うという優れものだ。OSCEでAIを相手にロールプレイ型自己学習が行えるOSCE学習支援システム、薬剤師国家試験の過去問正答率からAIが弱点分野を抽出し、自主学習を支援する国家試験対策システムなどのコンテンツも用意。これからの国試、就活は自己分析に始まり全てをAIが行う時代になるか。

 もともとは、薬学生が卒業後3年以内に退職する「早期退職」の問題解決策として開発されたものである。アイキャンパスでは、学生生活を支援するだけではなく、就職活動での学生と企業のミスマッチを減らすのが大きな目的。学生はアカウントを任意で取得し、スマートフォンやパソコンからサービスを利用できる。

 学内お問い合わせAIでは、学生からの履修登録や試験などの問い合わせに対し、AIが音声・テキストで回答し、確実な情報伝達と大学側の手続き簡素化を実現。さらに、履修科目情報や定期試験結果、ゼミ情報などの学修情報、所属サークルや学内活動などの学生生活情報、健康診断結果や精神面での状態などのパーソナル情報を網羅した学生向けeポートフォリオシステムでは、大学がこれまで把握できなかった学生生活などの情報も統合的に管理し、性向分析や就職での適職分析に活用できるようにする。

 その適職分析結果に基づき、大学側とアイキャンパスの参加企業が情報を共有。学生に対して紹介企業の会社説明会動画を配信し、疑問点があればAIが動画配信中に回答するリクルート支援システムを提供する予定という。

 そのほか、薬学生向けのOSCEでAIを相手にロールプレイ型自己学習が行えるOSCE学習支援システム、薬剤師国家試験の過去問正答率からAIが弱点分野を抽出し、自主学習を支援する国家試験対策システムなどのコンテンツも用意し、多くの学生に使われるシステムを目指すとしている。


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