各部署での利活用を広げる
製薬企業が電子カルテやレセプトなどのリアルワールドデータ(RWD:実臨床データ)を利活用し、医薬品の価値検証や事業の意思決定を行う新たな時代が幕を開けた。4月に製造販売後調査(PMS)に関するGPSP省令が改正され、医薬品医療機器総合機構による副作用データベース(DB)「MID-NET」の運用が始まり、PMSでDB研究も可能になった。外資系企業では、医薬品の安全性監視業務だけではなく、臨床開発やメディカルアフェアーズなど各部門でRWDの活用を推進する統括部署や、RWDから医薬品の価値を実証し、規制当局と薬価の交渉を行う医薬品アクセスに特化した部署を設立する動きが相次いでいる。ただ、グローバルで豊富な経験を持つ外資系製薬が先行する一方、国内製薬の後れが顕著になっている。
実臨床で医薬品の価値実証
製薬企業を取り巻く事業環境が変化し、実臨床のRWDから創出したエビデンスを戦略的に活用する時代に入った。治験データでは収集できない情報について、医療機関で集積した電子カルテやレセプトなどの医療情報や、患者が装着したウェアラブル機器から直接収集した血圧や脈拍などの連続的なデータ、電子患者日誌など患者の主観的評価データを用いて、医薬品の真の価値を検証する。