ベンチャーの起業も視野に
山口大学は、医学研究科と同大学附属病院内に、生物学にシステム工学の考え方を取り入れたシステムバイオロジーと、人工知能(AI)の機械学習を医学・医療に応用させ、新たな学術的知見・技術を推進する「AIシステム医学・医療研究教育センター」(AISMEC)を設立した。AIの基礎・臨床医学への導入を目的としたセンターの設立は、国立大学法人としては初の取り組みとしており、中長期的にはアカデミア発ベンチャーの設立も視野に入れる。浅井義之センター長(山口大学大学院システムバイオインフォマティクス講座教授)は5月29日、都内で会見し、「医療AIとシステム医学の融合領域は、世界的視野で見てもいまだに挑戦性の高い領域となっている。この領域で世界をリードする研究成果を生み出していく」と意欲を示した。
システムバイオロジーは、遺伝子や細胞も含めた生命に関する全ての現象を「システム」の動きとして捉え、実証実験や数理モデルの構築を通じて解析していくもの。AISMECでは、これらにAIの機械学習を取り入れることで、医学・医療分野の基礎研究の推進、新しい医療技術の開発、データサイエンス医学の人材育成を図る。