【薬学生のための合同企業・大学交流会】就活めぐり活発な意見交換

2018年11月1日 (木)

薬学生新聞

九つのグループに分かれて行われたグループワーク

九つのグループに分かれて行われたグループワーク

 大学薬学部・薬科大学の就職担当責任者とドラッグストア・調剤薬局等の人事採用担当者が一堂に介する「薬学生のための合同企業・大学交流会」(C.U.P会=Company and University Pharmaceutical Industry Enhancement Conference)がこのほど、都内で開催され、35企業36大学が参加した。同交流会は、継続的に企業と大学が協力し合い薬学発展に努め、薬学生の社会への道をより良いものにすることを目的としており、今回で11回目を迎えた。今回も前回と同様に、活発な意見交換の場とするべく、グループワークという取り組みを実施。九つに分かれたグループが、▽1day インターンシップの問題点と有用性▽2019年度から、5年次実務実習が4期制に変わることに伴う就職活動への影響――という二つのテーマのうち一つを選び、それぞれ議論を重ねた。

早瀬相談役

早瀬相談役

 会議の冒頭には、同交流会相談役の早瀬章二氏(ウエルシア薬局)があいさつを行った。

 早瀬氏は、経団連の中西宏明会長が就職活動の時期などを定めた「就活ルール」の廃止に言及した点に触れ、「就活ルールを紐解くと、制定されたのは1953年で65年前になる。それ以降、語り継がれてきたもの」と説明。「それが廃止になるということは、色々な意味で混乱を起こすのではないかと思う」とした。

 また、「19年に大学を卒業する学生へのアンケート結果を見ると、77.9%が“2月以前に就職活動を行いたい”と回答しいている。中には9月前に活動して早々に就職を決め、勉強に専念したいといった意見もあった。企業側、大学側の意識にも差があるのではないか」などと指摘。その上で、「最も危惧していることは、5年前は薬学部は1番人気のある学部だったが、その状況が変わってきていること」とし、「やはり裾野が広がっていかなければ、良い学生は入ってこない。そうすると、薬学部や薬科大学、さらには我々企業側にとっても今後大変な時代が訪れることになると思う。そうした観点からも、この交流会が果たす役割は大きくなっていくだろう」との考えを強調した。

1day インターンシップ:学生の参加しやすさが利点‐1日では短いとの声も

 引き続き行われたグループワークでは、9グループのうち5グループが「1day インターンシップの問題点と有用性」を、4グループが「19年度から、5年次実務実習が4期制に変わることに伴う就職活動への影響」を選択。議論する時間は1時間弱という限られた時間であったものの、各グループとも真剣で熱い議論が展開され、その後、各グループの議論の内容が発表された。

 テーマの一つ「1day インターンシップの問題点と有用性」について見ると、有用性としては、「現在、5年生の実習期間が長くなっており、インターンシップに参加しづらい面があるが、土日のうちの半日や1日ということであれば参加しやすい」といった意見や、「薬学部は研究室という体制があるので、どうしても研究室の中の友人や先輩からの情報など、比較的狭い情報の中から企業を選ぶ傾向がある。そうした中、1dayであってもインターンシップに参加することで、それぞれの企業の特徴や雰囲気などを自分で体験することは、企業を選択するという機会においては良いこと」といった考えが示された。

 また企業側からは、「1dayのインターンシップと5年次の実務実習が一緒の内容では全く意味がない」との理由から、「薬剤師以外の仕事を学べるようなプログラムを組んだ」といった取り組みが紹介された。具体例として、薬剤師と管理栄養士を目指すそれぞれの学生が一緒になってインターンシップを行ったことを挙げ、「他職種の理解を深めることを目的に1dayインターンシップを行っている。社会的視野を広げる有用な機会となっているのではないか」とした。

 一方の問題点としては、「1日で就業体験ができるのかが最大の問題」とした意見が複数挙がった。また、1日や半日のインターンシップを行う場合、土日に行うケースが多いことが指摘され、「店舗が閉まっている場合が多く、本来の業務、実際に患者さんやお客さんが来店している中での業務を見せることが難しい」とした問題点も挙がった。

5年次実務実習が4期制に:就活への影響、懸念相次ぐ‐「自分を見つめる時間なくなる」

 もう一つのテーマ「19年度から、5年次実務実習が4期制に変わることに伴う就職活動への影響」に関しては、「実習のための準備であったり、業界を研究するための時間なども必要であり、どのような薬剤師になろうとするのかなど、学生たちが自分を見つめる時間がますますなくなってしまうのではないか。これはつまり、応用する力が付いていない学生が社会に出て行くようになり、これが入社後の社員教育に時間がかかってしまうことにつながる可能性がある」といった指摘や、「学生が就職活動を行う上で、雇用面、条件面だけを見ながら進路を決めていく部分が大きくなり、結果、卒業生達はその報酬に対して見合う活躍ができているかどうかと考えるようになるのではないか」といった懸念も示された。

 また、学生の就職活動面への影響としては、「低学年のうちから就職活動に動き出す学生が多くなり、就職活動期間が長期化するのではないか」と予測された。

 さらに、「実際に4期制が動き出してみないと分からない部分も多い」とした考えも示され、「大学側としては、学生が自分で考えて自分で決める意志を持たせるように指導していくことが重要」といった意見が見られた。



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