ニュースダイジェスト

2018年11月1日 (木)

薬学生新聞


【厚労省】薬局の基本は服薬状況把握‐機能区分議論で論点示す

 薬局・薬剤師のあり方をめぐる法改正の議論が医薬分業の是非にまで発展していた厚生科学審議会の部会での議論に新たな方向性が出てきた。10月18日に開かれた会合では、薬局の基本的機能として、薬の服用期間を通じた継続的な服薬状況の把握や薬局の機能を法律で明確化することなどの論点が厚生労働省から示され、これに呼応する形で日本薬剤師会も薬局の機能区分として、最低限の機能を持つ「基本的な薬局」に加え、「かかりつけ薬局」「高度薬学管理機能薬局」の3類型を提案した。一部委員からは「法律に明記するほどのことではない」と慎重な意見が出ており、薬局の機能区分も唐突感が否めず大きな議論を呼びそうな情勢だ。

 厚労省は医薬分業について、あくまでも有効で安全な薬物療法の提供には、患者の服薬状況を継続的に把握し、その情報を医師に情報提供することが必要との考え。そのため、薬機法改正に向けて「薬局薬剤師はこれを必ずしも十分実施できていない」と実態を指摘し、薬局の基本的な機能について、薬の服用期間を通じて服薬状況を把握したり、薬学的知見に基づく指導を行うことと定義。患者の服薬状況に関する情報を必要に応じて医師に提供することにより、薬物療法の最適化に寄与すると位置づけた。

 患者が自ら薬局を選択しやすくするため、薬局の基本的な機能に加え、地域における「服薬情報の一元的・継続的な情報連携」を強調。その主体的な役割を担う薬局を“かかりつけ機能”だとしたほか、癌などの薬物療法を受けている患者に対応できる“高度薬学管理機能”があるか明確にすることを提案した。

 この提案について、山口育子委員(NPO法人ささえあい医療人権センターCOML理事長)は、「法令上明確にすることで本来業務が明確になる。」と賛同。業界の自浄作用を待っていられないと厳しく指摘し、服薬状況の継続的な把握などの業務を法制化する方向性を支持した。さらに「どういう薬局なのか見えるようにしていくことが必要」との考えを示し、薬局を機能別に区分することにも賛同した。

 伊藤由希子委員(津田塾大学総合政策学部教授)も、「薬剤師がやるべき業務を法制化して明確にすることは意味のあること。ダメな薬局を淘汰するための条件整理にもなる」と同調した。

 これに対し、中川俊男委員(日本医師会副会長)は、「なぜ法律で明確にしないとできないのか。本来の業務ができていないのに、さらに上を目指して法令化することに非常に違和感を覚える」と問題視し、反対姿勢を鮮明にした。

 日本薬剤師会副会長の乾英夫委員は、薬局の機能区分として、最低限の機能を持つ「基本的な薬局」に加え、「かかりつけ薬局」「高度薬学管理機能薬局」の3類型を示し、法律で役割を明確化するよう求めたが、山口委員は「最低限しかやっていない薬局を基本的機能とするのは、今までと変わらない。最低限しかやっていない薬局が経営していける仕組み自体が問題」と批判のトーンを上げるなど、議論が錯綜している。

 薬局薬剤師とは何なのか――。関係者がそれぞれ思い描く姿が混同している現状で法改正が必要なのかどうか。脱線気味の議論にあきらめムードも漂う中、現場の薬剤師は固唾をのんで見守っている。

【文科省調査】全学生にトライアルは36%‐大学や施設で取り組みに差

 来年2月からスタートする薬学教育改訂モデル・コアカリキュラム準拠の実務実習を想定したトライアルの取り組み状況の調査結果が文部科学省から示された。5月から7月の第I期に病院実習を行った大学のうち、全学生にトライアルを実施した大学が36%にとどまっていたことが判明。新たな実習で必須となる大学・病院・薬局の三者による連携体制構築」を行っていた大学も半数程度で、大学や地区調整機構、施設によって取り組みにバラツキがあることが分かった。

 調査は、全国74学部を対象に実施したもので、第I期に病院実習を行った大学のうち、全ての学生にトライアルを実施した大学は36%(25学部)、一部の学生に実施した大学は46%(32学部)となった。一部の中には、8割以上の学生にトライアルを実施した大学がある一方で、1~2人のみの大学もあり、大学によってかなり差があることが明らかになった。

 トライアルを「今後、全学生に行う」「今後、一部の学生に行う」と回答した大学では、「II期から実施」が多く、「今年度は行わない」と回答した大学は7%(5学部)だった。トライアルを行わない理由として、「地区調整機構での討議結果により実施していない」「トライアルを行うかどうかは施設に任せている」などの意見が挙がった。また、実習施設側の了承が得られず、一部の学生でトライアルができなかったとの意見があったのに対し、施設側からの希望に応える形で一部の学生でトライアルを行ったとの意見もあったようだ。

 2015年2月に策定された「薬学実務実習に関するガイドライン」では、大学・病院実習・薬局実習の学習の連携を図り、一貫性を確保することで学習効果の高い実習を行うことが明記されているが、三者での連携体制を構築した大学は49%(36学部)で、半数にとどまった。連携体制を検討している大学は42%(31学部)、今後検討する大学は8%(6学部)だった。

 大学関係者が集まって議論する実務実習に関する連絡会議では、トライアルの重要性やトライアルそのものを理解していない教員がいることなどが問題視された。来年2月からの本格導入を円滑に行うため、I期から全ての大学がトライアルに取り組む方針を確認していたが、本格実施に向けて課題が浮き彫りとなった格好だ。

【厚労省】生活保護者は原則後発品を‐薬局に理解促進求める

 改正生活困窮者自立支援法が10月から一部施行され、生活保護受給者の後発品使用が原則化されたことが議論を呼んでいる。厚生労働省は、生活保護受給者の後発品の使用を促す施策をまとめ、生活保護法で指定を受けた薬局が受給者に後発品調剤への理解を求めることや、後発品の使用割合が一定以下の自治体に低調な原因や対応方針などを記載した「後発品使用促進計画」を策定し、公表することなどを求めている。ただ、薬局薬剤師には戸惑いが広がっているのも事実。薬剤師の生活保護受給者への対応という新たな課題が浮上している。

 厚労省は、医師が後発品の使用を認めた場合、生活保護受給者は後発品使用が原則となったことを踏まえ、後発品の使用を促すために生活保護法で指定された薬局・医療機関、受給者などに周知すべき内容をまとめ、都道府県に対応を促す通知を出している。

 指定薬局には、訪問による説明などを通じて、一般名処方による処方箋、銘柄名処方で後発品への変更可能な処方箋が発行された受給者に後発品調剤の理解と協力を求めることとしているが、後発品の在庫がない場合や処方医への疑義照会により先発品を処方することとなったケースは例外とした。

 また、先発品を調剤した事情を記録した上で、定期的に福祉事務所に送付するほか、在庫の都合でやむを得ず先発品を調剤した場合、次回以降は後発品を調剤できる体制を整備するよう努めることを求めている。

 後発品の使用割合が一定以下の自治体に対しては、使用促進が低調な原因や対応方針などを盛り込んだ「後発品使用促進計画」を毎年度策定、公表することを求めている。

 一方、受給者に対しては、自治体が後発品が先発品と同じ成分、同じ量が含まれ、品質や有効性・安全性も同等であると厳正に審査されたものであり、原則として後発品が調剤されることなどを家庭訪問を通じて周知するよう求めている。


ページ:
[ 1 ] [ 2 ]

HOME > 薬学生新聞 > ニュースダイジェスト

薬学生新聞 新着記事
検索
カテゴリー別 全記事一覧
年月別 全記事一覧
新着記事
お知らせ
Twitter & RSS

記事の更新情報の取得には、TwitterとRSSが便利です!