イメージング臨床試験に精通したCRA目指す マイクロン 長谷川慶さん

2019年1月1日 (火)

薬学生新聞


長谷川慶さん

 PETやMRI、CTなどの医用画像を用いて客観的に薬剤の有効性を評価する技術は、この10年で急速に進歩しており、癌や認知症など優先的に医薬品開発が行われている領域の多くでは画像解析が必須とされている。イメージングCRO「マイクロン」で臨床開発モニター(CRA)として活躍する長谷川慶さんは、まだ入社4年目と修行中の身だが、「グローバルで活躍できる人材」「癌で苦しむ患者さんを救う新薬開発でプロフェッショナルになる」と将来の自分をしっかりイメージする。

プロトコル改訂へ粘り強く説明

 長谷川さんは薬剤師の両親のもと、幼い頃から薬という存在を身近に感じながら育った。大学進学の際、両親と同じ薬剤師の道に進むことも考えたが、選択したのは4年制薬学部。大学では尊敬する先輩の影響を受け、大学院へと進み、癌に関する研究に没頭した。

 就職活動は大学院での研究の延長線上にある様々な企業や業界を見ていたが、成長が著しいCRO業界に興味を持った。「説明会などで話を聞くうちに、CRAの仕事が人と人をつなぐ架け橋だと感じた」と長谷川さん。そんなCRO業界でもとりわけ特徴的なビジネスモデルを持つマイクロンと出会った。

 イメージングCROという耳慣れない事業。事業規模こそ大きくないが、PETやMRI、CTといったイメージング技術を駆使したCROの枠に収まらないビジネスモデル、臨床試験の将来を創っていこうとする志に感銘を受けた。説明会で接した先輩社員達の雰囲気や成長性にも魅力を感じて応募し、見事に採用された。

 入社後、配属されたのはモニタリング事業部。臨床試験において被験者の安全性に配慮し、計画書に沿った形で正しく行われ、収集したデータに問題がないかを確認するCRAとして就業することになった。

 最初に任せられたのは、製薬企業の実施する臨床試験で改訂された治験実施計画書「プロトコル」を治験責任医師に説明し、合意を得る仕事だった。試験の立ち上げ時に行うプロトコルの合意取得と同様、丁寧な説明が必要とされる。現場に入る前に先輩社員と何度も現場を想定したロールプレイを繰り返し、どんな質問を受けても自信を持って回答できる準備をしてきたつもりだった。しかし、医療の最前線にいる医師の鋭い質問に対して回答に窮してしまった。

 プロトコル改訂で合意が得られなければ、臨床試験は継続できず、新たなデータも取得できない。結果的に患者に新たな薬が届かなくなる。「なかなか練習したとおりにうまく話せず、伝えることができなくて悔しかったですね」と長谷川さんは当時を振り返る。自分に課せられたミッションを達成できず、焦りの日々を過ごした。

 製薬企業の担当者に医師との面会時に同席してもらう、先輩社員のアドバイスをもらうなどしながら、医師に対して試験のプロトコル改訂の科学的な根拠を示し、粘り強く説明を行った。限られた時間の中で医師にどう説明すれば意図を理解してもらえるかを考え、話す内容を整理し、質疑に対しても分かりやすく回答するため、事前準備に時間をかけた。それでもうまく説明できないときには、次の訪問時、別の医療機関での面会で反省も活かし説明した。長谷川さんの地道な取り組みもあり、臨床試験をスムーズに進めることができた。

 この試験の「インベスティゲーター・ミーティング」(治験実施医師が一堂に集い、実施方法などを協議する会議)でプロトコル改訂の合意をもらった医師と再会した際、「長谷川さんが一生懸命やってくれたおかげで、患者さんが試験に参加してくれたし、良いデータを得ることができたよ」と言葉をかけてもらうことができた。悔しい思いをした分、その言葉がとても嬉しかった。

将来的には会社の中心的役割を

 現在は国際共同試験を担当し、手順書確認やモニタリング報告書作成を英語で行っている。1日も早く臨床試験業務で使われる英語に対応できるよう、自己研鑽に励みながら、日々の業務にあたっている。

 10年前には製薬業界においてあまり知られていなかったイメージングCROの存在が社会に認知される時代に突入した。長谷川さんは医用画像を用いる臨床試験に精通したイメージングCRAを目指している。PETやMRI、CTを使用した臨床試験では、信頼性が確保されるこれらのデータを的確に収集するために、イメージングCRAが重要な役割を担う。医用画像を撮像するのは診療放射線技師だが、「試験を立ち上げるときに、イメージングに関する知識を持ったCRAがいれば、試験をスムーズに進めることができる」と長谷川さんは話す。

 これからの目標は?と聞くと、「グローバルで活躍できる人材」「癌に専門性を持ったイメージングCRA」と即答する。抗癌剤治験の多くでイメージング技術が使われるようになっている。大学院で癌に関する研究を続けてきた長谷川さんだから、成し遂げたい思いは強い。

 日常診療を中心に用いられてきたイメージング技術が医薬品開発にも活用されるようになり、この先の未来でどのように拡がっていくのか、無限大の可能性を秘めている。「まずはイメージングCRAとして活躍することを目指し、ゆくゆくは会社の中心的な役割を担えるような人になりたい」と長谷川さんは将来を見据える。



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