【考えよう!キャリアデザイン】プロとは何か [2] プロフェッションについて

2019年1月1日 (火)

薬学生新聞

キャリア・ポジション社長
西鶴 智香

西鶴智香氏

 今回も引き続きテーマは「プロとは何か」について。前回、「薬剤師の使命」について皆さんに問いかけました。私が考える薬剤師の使命は「薬物治療で患者を治すこと」です。皆さんはどう考えましたか?

 さて、現在の医療現場では「チーム医療」という言葉を使うようになりました。これは、患者を中心とした医療のことを指し、医師や薬剤師などそれぞれの領域の専門家が、その専門知識と技術を持ち合い、みんなで患者の治療を行うことを指しています。そもそも、医師、看護師、薬剤師など各医療職種はそれぞれの専門領域を持ち、患者の病気を治すためにやるべきこと、つまり職業使命を持っています。そういった職業使命を持ち、その使命と責任を公約している職業を「Profession」(プロフェッション)といいます。

 18世紀の西欧社会では当初、医師、弁護士、聖職者の三つの職業のみがプロフェッションとして存在していました。その後薬剤師も仲間入りし、日本の職業分類でも薬剤師は高度専門職の一つとみなされています。

 一般的にプロフェッションと呼ばれる職業には、二つの特徴があります。[1]その職業の倫理規定を持つ[2]その職業集団で質を保証する――という二つです。日本の薬剤師の現状はどうでしょうか?倫理規定はありますが、職業集団で質を保証するということにおいては、今は質を厳しくチェックするものはありません。認定薬剤師制度はありますが、これは質を保証するとまではいえないものです。免許更新制の話題も出たりしますが、現実的ではありません。

 実は他の職業も同じで、現在では外部評価を意識することも重要といわれています。このことから薬剤師も、国民や他の医療者から自分たちの職業がどう評価されているかを意識せざるを得ませんが、あまりに外部評価を受け入れ過ぎて、自分達が本来やらねばならない職業使命を軽視することになってはいけません。

 改めて、薬剤師という職業は、職業使命を持ち、職業集団で質を保証するという高度専門職なのだということを、再確認して下さい。次回は「プロへの道」について説明します。



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